その恋、自覚してたの





「あれ?スガって眼鏡かけてたっけ?」

委員会に出すための書類を仕上げるためにスガと集まって、さぁ書こうとなった時、スガが眼鏡をかけたのだ。

「え、ああなんかたまに目の調子悪くてさー。今日は眼鏡」

「へぇ!2年も一緒にいたのに初めて知った」

私がそう言って笑えば、スガは「似合う?」とにかっと笑った。

「ん、似合う。かっこいい」

平然と言ったけど、実際いつものかっこよさに磨きがかかった感じがして、ドキドキしてしまう。

「なまえがそんなこと言ってくれるなら、ずっとかけときたくなるべ」


その言葉にドキドキしていた、胸が更に弾んだ。

「なにそれ」

笑って、それを誤魔化す。
ずっとスガのこと好きかな、とは思ってたけどそれを私自身否定してきた。
部活に支障がでたらダメだと言い聞かせて。


「眼鏡のおかげで、誰かさんに自覚させれそうかなー」

ポツリとスガが呟いた言葉を私は聞き逃さなかった。

「え?」

「…なぁ、ドキドキする?」

肩肘をついて、前のめりになって私へと顔を近づけてくる。

「な、え、どういう、え?」

動揺して変な言葉が出てしまった私を笑うスガ。

「もうすぐ一年も入ってくるしさー。なまえはモテるから誰かにとられないか心配なんだべ?」

「なっ、にそれ…モテないから」

「自覚した?俺のこと好きだって。ずっと待ってたけど、限界」

「……自覚してたに決まってるじゃん。もし、ダメだったらって思って隠してたの!」

するとスガは、珍しく「は?」と大きな声をだす。
そしてため息をついて、机にうつ伏せた。

「なんだべそれ…。てっきり俺のこと好きなのに分かってないのかと思ってた…。」

それからスガは私のほっぺを抑えて、触れるだけのキスをした。
何が起こったのか私は理解できなくて、理解した時には顔は真っ赤だったと思う。


「やっとなまえに触れられる」





そんなのこっちの言葉だよ。
なんて恥ずかしいから言わないけど、ね。



その恋、自覚してたの
(「なまえ、ずっと好きだった」)





あとがき

今回のスガさんは自信満々のイケイケスガさんでした。
スガさんは、なまえちゃんが自分のこと好きって気付いてて、でもなまえちゃんはそんな素振りをあまり見せないから、自覚させてやろうって思ったようです。
でもなまえちゃんは自覚した上で、我慢してたということです。
スガさん、なまえちゃん。お幸せに。




prev next
back