内緒のお話はね
あれ。
授業中、ぼーっとしていて、ふと隣の縁下を見たら眼鏡をかけていた。
授業前はかけてなかったよね。
ってかいつもかけてたっけ?
ジッと見つめていたのに気付いたのか、縁下は「なに?」と小声で聞いてきた。
「眼鏡かけてたっけ?」
「え、ああ、最近黒板の小さい字が見えなくて」
「だからかぁ」
初めて見た眼鏡姿。黒縁のメガネがとても似合ってて、いつもと雰囲気が違くて思わず、ずっと見つめてしまう。
「…みょうじ見過ぎ」
「かっこいいんだもん」
素直な感想を言っただけなのに縁下はフイっと、向こうを向いてしまった。
「え、なに?」
「や、普通に照れたんだけど」
少し顔を赤くして、困ったように笑う縁下に思わず笑ったら、先生に内緒話がバレてしまったようで怒られてしまった。
ちょっとした悪戯で、ノートの切れ端に文字を書いて縁下に渡したら、
「バーカ」
と口パクで言われた。照れ隠しのくせに。
『眼鏡似合っててかっこいいよ
普段ももちろんかっこいいけどね』
内緒のお話はね
(「縁下メガネかけさせてっ」)
あとがき
まだ付き合っていない二人でした。
きっとそのうち付き合い始めると思います。
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