優しい匂いと笑顔で心を
「たまに思うけどさ、なまえ…ちょっと近くない?」
部活からの帰り道。
孝支にべったりくっついていたら、明後日の方向を向いたままで、孝支がそう言った。
「だって孝支いい匂いなんだもん」
「いや、絶対汗臭いべ」
「んーん。孝支はいい匂いだよー」
なんだろ、孝支の匂いは安心する匂いなの。
たまにすごくくっつきたくなるの。
いつもそう言うと、「なんだべそれ」って笑われる。
「えー、そうかな」
ほら、また笑った。
「まぁ、なまえがくっついてきてくれるなら悪くないなー」
頭をくしゃくしゃってされて、私も思わず笑った。
「今日寒いしね。くっついてるとあったかい」
「ん、あったかい」
私達は、もう三年生。こうやって制服着て、一緒にくっついて帰るのも最後かなぁ…なんて最近たまに寂しく思う。
「これからもずっと、こうやってくっついてようなー」
「…っ、うん」
たまたまかもしれないけれど、孝支の言葉はすぅって私の心に入ってきて、私の心をぽかぽかにしてくれた。
寂しい時、孝支はいつも私を笑顔にしてくれる。
私ね、ニカって笑う孝支の笑顔が、本当に大好きなんだ。
孝支の匂いと笑顔に包まれて、今日も心も身体もぽかぽかで、
幸せです。
優しい匂いと笑顔で心を
(「ぽかぽかにしてくれて、ありがとう」)
あとがき
ちょっと優しいふわふわしたお話にしてみました。
すがさんと一緒にいると、きっと幸せになれますね。
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