その笑顔で





「なまえ!大好きだ!!!」

「……はい?」


のやにいきなり告白されたのは三日前のこと。

部活の休憩中にいきなり肩を掴まれたと思ったら、思いっきり愛の言葉を叫ばれた。
ものすごく恥ずかしかった。

「の、のののやっさん!!!!??何言ってんの!?」

「西谷!?お前いきなりどうした!?」

龍や大地さんが熱を手ではかったり、頭を叩いてみたりしたけれど、のやは本気だったらしく、

「だ!か!ら!なまえが好きだって言ってるだろ!!!!なんか無性に言いたくなったんだよ!!!」

ともう一度叫ばれた。
死ぬほど恥ずかしかった。
のやに求めるのは無理だとは思うけど、できれば時と場所を考えてほしかった。
……無理だとは思うけど。


でも、私も一年の頃からずっとのやのことが好きだったから、

「ん。私ものやのこと好きだよ」

って言ったら、部員達の尋常じゃない叫びが体育館中に響いた。
そして、抱きついてきたのやに驚いてつい殴ってしまった。ごめんねのや。


それからというものーーーー……



「なまえー!好きだー!」

「はいはい」

毎日毎日、愛の言葉を叫んでくれる。
もちろん時と場所は御構い無しで。

「のやー重いよぉー」

後ろから飛びつかれ、ぎゅーっと強く抱き締められ、首元に顔を埋めてくる。ツンツンと尖らせた髪の毛がくすぐったい。

「愛の重さだな」

「なにそれ」

思わず笑ったら、ほっぺをむにーと引っ張られた。
けれどのやを見れば、その顔は楽しそうに笑ってる。

「のやー」

「おー?」

「好きー」

すると、私の背中に抱きついていたのやは少し驚いて、でもすぐに声を出して笑った。

「でも俺の方がもっとなまえのこと好きだぜ」

わざわざ私の前に出てきて、親指で自分を指差して、ポーズを決める。
なにそのポーズ。ほんとに馬鹿なんだから。でもその、のやの笑顔にいつも部員も私も救われてるんだよね。


すると龍がやってきて、私達を上から下までジロジロとわざとらしく見てきた。
しかもめっちゃ目つき悪い。

「おいおいお二人さんイチャつきすぎじゃないっすか?ん?お?部活中だぞコラ」

「龍…彼女いないからって僻むなよ」

のやも、わざとらしく龍の肩に手をぽん、と置いて、身長に似合わず物凄い上から目線。


「……っなんでのやっさんばっかり!!!」

「いーだろいーだろ。なまえみたいな可愛い奴と付き合ってんだぞ!」

「俺も彼女ほしいいいいいい!!」

ほんとなんでのやってこんな素直なの…。
恥ずかしいんですけど…。



でも、二人で馬鹿みたいにはしゃぐ姿を見て、のやのキラキラした笑顔を見て、

やっぱりのやが好きだなぁ、なんて思ってしまった私なのでした。




強くて明るくてみんなの太陽みたいな、
のやが大好きだよ。





その笑顔で
(これからもそばにいてね。)





あとがき

のやっさんの愛情表現は凄そうですよね。




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