★1話★


ここは森然高校。
梟谷グループ主催の合宿が行われる学校だ。




「クロ、梟谷来たって。」


「うえーい今行く。」






俺は音駒高校3年、男バレ主将の黒尾鉄朗。
あ、俺を呼んだのは一つ年下の幼馴染の研磨。

俺達にとって最後春高がやってくる。
インハイはベスト8位。
納得なんていく順位ではなかった。


今日から始まる春高予選に向けた合同合宿に、今年は宮城の烏野も参加すると監督に聞いた。


一週間もだ。
めんどくさいにもほどがあるけどまぁ烏野相手なんかにゃまけない。
そうまけない。
ゴミ捨て場の決戦で決着をつけるというほど俺達音駒と烏野には因縁が昔はあったらしい。
まぁ昔だけども。


インハイ前に烏野高校と一度練習試合をした。
うちの監督はそれで烏野を気に入ったらしい。
春高前の大事な遠征合宿に、俺の世代で今まで一度も呼んだ事のない烏野を呼ぶぐらいに。






「うおーーーい黒尾!!!!!!きたぞーーーー!!!!


「木兎さん煩いです。インハイぶりです黒尾さん。」


「相変わらず木兎はうせーな…大変だろ赤葦此奴の世話。」


「えぇかなり『あかーし!?そこ否定するところだから!!!!』



そんな会話をしている時だった。

真っ黒いジャージを着た集団が俺達の前にやってきた。







「よぅ。迷わないで来れたみたいだな?おのぼりカラス。」


「今回は音駒じゃないんでね。すんなりこれましたよ。」


「ヘイヘイヘーイ!梟谷主将の木兎だ!宜しくなー!!」


「烏野主将の澤村です。宜しく。後先に紹介しておきますね。
月島ー!」


「はい?」


「あ、すまないお前じゃない、詩織!」


「はい …?」





そう烏野の主将が言うと、長身メガネくんの後ろから、女の子が顔を出す。


月島と同じ髪色。それでもって腰までの毛先に少しウェーブ。
とても細く綺麗な体のラインをしている理想の体型に綺麗な顔立ち。
身長は150前後ぐらいだろうか。

此処に居た誰もが一瞬固まっただろう。
その美貌に。

俺は無意識に思った。
美人で可愛いっていうのはこういう子のことをいうのか、と。




――――じゃなくて!
なんで烏野ばっか女子がまた増えているんだー!!!!


その女の子はメガネくんの後ろから漸く出てくる。







「彼女はトレーナー兼マネージャーです。この月島の双子の妹で月島詩織。前回の試合の時は留守番をしてもらっていたんですが、今回はちょっと訳アリで連れてきてるんだ。詩織、自己紹介して。」


「烏野1年の月島詩織です。宜しくお願いします。」






ぺこり、とお辞儀をすればその子とバチリと俺は目が合う。




「――――――ぁ『言っておきますけど。詩織に手は出さないでくださいね。』







ガルルルルっと睨んでくるメガネくん。






「え、月島ってシスコンなの!?」


「ツッキーは極度のシスコンですよ田中さん…俺でさえ普通に話そうとすると引き離されるんで。幼馴染なんですけどね…。」


「当たり前でショ。こんなに美人でかわいいんだから変な男によりついてもらったら困『蛍煩い。』





そんな月島をよそに、詩織は梟谷の木兎と赤葦と握手をし、そして俺にも手を差し出してくる。





「宜しくお願いします、黒尾さん。守備で有名な音駒で主将やってるMBの方ですよね?月バリで拝見してます。」


「おおお、おう 。」








―――――俺は、この歳にして遅咲きの初恋が来てしまった。









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