少しの間無言が二人を包み込む。


それを破ったのは妹ちゃんの方だった。






「もしかして」


「お、おう?」


「……聞きました?蛍から。」


「あー ………悪い、廊下に居た時に聴こえちまって ………。」


「大丈夫ですよ、別に隠しているわけではないので。あ、着替え終わりました。」






カーテンを開けた音で確認をして俺は少し気まずいながらも妹ちゃんの方へと向く。
妹ちゃんは髪をキュっと上に結びお団子頭に。






「…あのさ『普段は、なんてことないんです。』




妹ちゃんがベッドから立ち上がり、とりあえず戻りましょうと共に歩き出した。





「学校の体育も、体育祭も普通に出てますし。ただ、過度な激しい運動を長時間というのが心臓の所為でできません。

でも、私はバレーボールが大好きです。
だから、せめて関わっていたいと今の形を取りました。」


「妹ちゃん………。」


「でも思ったほど楽しいんです、こうして一人一人を見て分析していくの。
私は共にコートに立つことはできないけど、それでもみんなと一緒にバレーが出来るって想えるんです、本当に。」





そう告げた妹ちゃんの表情に嘘は見られず、とてもきれいな横顔をしていた。
そしてみんなの元へ戻れば妹ちゃんは小さく呟く。






「―――内緒ですよ?あまり気を使われたくないので。」




そうにっこり笑みを浮かべ、先に走っていった。
俺はただ、その後姿をぼーっと見つめていた。
 




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