俺は寝ている詩織の唇へと口づけをする。 最初は触れてリップノイズを響かせて。 二回目で下唇を食みながら口付ける。 詩織が何かに気付き薄っすらを目を開けると、眠気眼で此方を見上げる。 ああああ、もうッ 、 「て… っちゃ ッ ―――――んん ぅ、 っ」 自分の舌を彼女の口内に侵入させ、中をくすぐる様に、舌先でつぅっと舐めた。 たったそれだけなのに、彼女は敏感に反応していて。俺は強く舌を捩じ込み始める。 「んっ、ぅ…ぁ、」 いきなりの強いキスに驚いたのか、詩織は一瞬舌を引っ込めた。 …が、俺はその舌を追いかけた。俺だって初めてのキス。詩織もだというのにいきなりのこんなキスにも一生懸命応えてくれる彼女が愛しくて、俺は強く、そして優しくキスをした。詩織の頭を右手で押さえ、逃がさない様にしながら。 暫くすると呼吸が苦しくなったのか、彼女が俺の肩を軽く小突いた。 そう思って唇を離す。 キス後の顔は、毎回堪らない。 そう海が前に言っていたことがあったのが分かった気がする。 頬をほんのり紅く染め、自分のものか俺のものか分からない唾液を口の端から零す。そして俺を見上げる、潤んだ瞳… これを見ると、歯止めが効かなくなるんだ。 ← → back 175/99 |