軽く扉をたたいた後に俺は開けると、そこにはまだ詩織がいた。





「詩織、まだいたのか。研磨どうだ?」


「お疲れ様です。まだだいぶ熱高いですね。これじゃ明日も練習させるわけにはいきません。マネージャーストップです。今さっきやっと寝付いたところです。」




額のタオルを変えながら詩織は研磨の額の汗をぬぐう。

そして俺達は研磨を起こさないように部屋をでて、また星空の見えるあの場所へと移動をした。






「そういやさ、今日のプレイ。研磨を真似たのか…?」


「あ、はい。研磨さんに近いようなプレイをしました。その方が皆さんの練習にもなると思いますし。やりづらかったですか…?」


「いや。ガチで研磨にトスあげてもらってるみたいだったよ。
―――恐らく明日もまたお前がコートに立つと思うんだ。玉彦と交代で。
そん時はさ、研磨じゃなくて、お前としてコートで俺達を使ってみろよ。」


「…私として、ですか?」


「おう。マネージャーじゃなくて、選手の月島詩織としてだ。
好きにやってみろ。セッターは、俺達の司令塔だからな。」





そう俺は詩織の頭をゆっくり撫でる。
なによりも、昨日選手として立って詩織が、とてもいい顔をしていたから。


普段は見せない違う一面のその顔に、俺はまた惚れ直したんだ。

 










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