軽く扉をたたいた後に俺は開けると、そこにはまだ詩織がいた。 「詩織、まだいたのか。研磨どうだ?」 「お疲れ様です。まだだいぶ熱高いですね。これじゃ明日も練習させるわけにはいきません。マネージャーストップです。今さっきやっと寝付いたところです。」 額のタオルを変えながら詩織は研磨の額の汗をぬぐう。 そして俺達は研磨を起こさないように部屋をでて、また星空の見えるあの場所へと移動をした。 「そういやさ、今日のプレイ。研磨を真似たのか…?」 「あ、はい。研磨さんに近いようなプレイをしました。その方が皆さんの練習にもなると思いますし。やりづらかったですか…?」 「いや。ガチで研磨にトスあげてもらってるみたいだったよ。 ―――恐らく明日もまたお前がコートに立つと思うんだ。玉彦と交代で。 そん時はさ、研磨じゃなくて、お前としてコートで俺達を使ってみろよ。」 「…私として、ですか?」 「おう。マネージャーじゃなくて、選手の月島詩織としてだ。 好きにやってみろ。セッターは、俺達の司令塔だからな。」 そう俺は詩織の頭をゆっくり撫でる。 なによりも、昨日選手として立って詩織が、とてもいい顔をしていたから。 普段は見せない違う一面のその顔に、俺はまた惚れ直したんだ。 → ← → back 175/93 |