haco | ナノ


今日から、京都や明陀を離れて東京支部の正十字学園に配属されることになった。なんで今更?とかわたしは明陀の人間なんだけどな、とか疑問はたくさんあるけれど考えても答えはフェレス卿しか知らないし、聞いたところで暇だからですとかわけわからない答えしかくれないと思うので考えただけ無駄だと思った。家を離れるのは家族が大好きなわたしにとってはとても悲しいことだけれども久しぶりにかわいい我が弟、廉造に会えるのかと思うとそんなさみしさもぶっ飛ぶ。柔兄にいたずらをしてもただ笑ってるだけだし金造なんかは殴ってくるのであまり面白味はないが、廉造は女好きでへらへらしてるくせにいざわたしがノーブラで腕を組んでみたり後ろから抱きついて胸をおしつけてみたりすると顔を真っ赤にして恥ずかしそうに「なにしてんのや!」なんて怒鳴ってくるもんだから楽しくて仕方がない。あー廉造はどうしてあんなに素直でかわいいのだろうか。お嫁にしたいくらいだ。会ったらまずは廉造のふわふわの髪をぐしゃぐしゃになるくらい撫でてほっぺにキスをして抱きしめるんだ。そんな計画を立てながら鼻歌まじりに廉造の住んでいる寮へ向かう。今日は休日だから多分部屋でごろごろエロ本を読んでいることだろう。

「れっんぞー!」

思いきりドアを開けてみればそこには坊と子猫と眼鏡をかけた男の子とアホ面をした男の子がびっくりしたようにこっちを見てぽかんとしていた。あれ、なんかすごく場違いで恥ずかしい…。


「なまえ、なんでここにおるん?!」
「あ、坊!!!お久しぶりです!!元気にしてはりました??今日からここで働くことになってさっき正十字にきたんですけど、えっと、その…廉造は?」
「ドアの隣」
「へ?」

坊が指差す方向、わたしが思いきり開けたドアにあたったのか反対側には頭を抱えている廉造がいた。

「…っくぅ!いきなりなにすんねん!!なまえ姉」
「きゃあああ廉造おおおおぉぉぉ会いたかったよおお」

廉造を見るや否やすぐさま抱きつき廉造に会ったらしようとしていたことをすぐに行動に移した。まずふわふわの髪の毛をぐしゃぐしゃになるまで頭を撫でて胸に顔を押しあてる。そうする廉造の顔はみるみるうちに赤くなっていった。最後にキスをしようとするとさっきまで真っ赤だったのが一気に青くなっていってやめてや!!なんて叫ぶもんだからさらに強く廉造を抱きしめたけれど高校生の男の子の腕の力は意外と強いものですぐに引きはなされる。

「もう!!何すんねん!!」
「廉造がかわいすぎてつい」
「ついやないやろ!」

ぶつぶつ文句を言いながら坊の隣に座る廉造。ちぇー、そんなに怒らなくてもいいのに。大好きな弟を目いっぱいかわいがってなにが悪いのよ。ふと目線を廉造から外すと眼鏡をかけた男の子とアホ面でぽかんとしている男の子が見つめてくるのがわかった。おねえさんが美人だからって惚れちゃだめだぞなんて思いながら廉造に聞いてみたらどうやら双子らしく燐くんと雪男くんという名前らしい。廉造とはまた違ったかわいさがあってなんかもう、わたし東京きてよかった!グッショブフェレス卿!!!

- ナノ -