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志摩と神木さんが、付き合ったらしい。狭い教室の噂とはすぐに広まるもので、そしてその話題に一色になったりもするものだ。わたしが見る限りでは相変わらず神木さんは志摩に対して冷たい態度をとっているけれど、2人きりだとあの神木さんもきっと女の子になるんだろうな。少し、うらやましい。

恋の賞味期限は2年だと聞いた。2年経てば神木さんと志摩の間に愛はなくなってしまうのだろうか。お互い、新しい恋を探すのだろうか。愛がなくなった後の2人はどうなるのだろうか。こんなことを考えても志摩はわたしのことなんか好きになってくれるわけでもないのに、神木さんと別れることを望んでいるわたしはあまりに愚かで最低だ。
仮に志摩と恋人になったとしても、みんな平等に賞味期限を迎えるのなら、わたしにだって別れが来てしまうではないか。別れを迎えるなら、最初から恋人なんかになりたくない。友達のまま、志摩の隣にずっといたい。

「志摩、神木さんと付き合ってるんだって?」
「おん」
「なんで、言ってくれなかったの?」
「出雲が、誰にも言うな言わはってな〜恥ずかしがりやねん出雲。お前と違ってかわいいやろ〜?」
「どうせわたしはかわいくないですよーだ。」


名前、呼び捨てにしてるんだ。女の子の中で呼び捨てはわたしだけだったのに。所詮友達は特別にはなれない。けれど、志摩のそばにいるとやっぱり志摩に触れてキスして抱きしめあいたいと思ってしまうんだ。

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