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志摩くんは優しかった。その優しさが好きだった。志摩くんに告白したときも志摩くんはへにゃりと笑いながら言うんだ。俺もやって。本当は知っていた。わたしのことなんか好きじゃないことくらい。ずっと好きで志摩くんのことを見てきたんだから、嘘が得意なことくらい知ってる。けどわたしはその優しさを利用したんだ。

志摩くんはこんな不細工なわたしでもかいらしいなーなんて言ってくれる。どこをどう見たってかわいい部分なんてないのに。

志摩くんはいつも本音を隠す。いつだって嘘を吐く。いつだって自分を見せない。いつもそうやってへにゃりと笑って、周りに合わせて、何もかもを隠そうとするんだ。

志摩くんのすべてが知りたい。意地悪でもいい。傲慢でもいい。わがままでもいい。いい加減でもいい。なんだっていい。志摩くんがわたしの前では本当の自分になれるなら、わたしは志摩くんを嫌わないですべてを愛すよ。自分を隠さないで、すべて曝け出してほしい。ほんとの志摩くんが知りたい。ほんとの志摩くんをすきになりたい。

そんなこと言えばまたへにゃりと笑って何も隠してなんかないで?俺はこのまんまの俺やなんて嘘を吐くのだろうか。




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