冬の終わりの温かさ/鬼灯
「う〜本当は今日しまおうと思ってたんですけど…抗えない…」

「この誘惑は仕方がありませんよ、明日にしましょう明日に」

「そうですねぇ、明日でいっかぁ」


冬も終わりに近付きつつある日、今日こそ押し入れにしまおうと思っていた炬燵の誘惑に負けてぬくぬくと温まりながら二人でテレビを見ている。
実家から送られてきたみかんが余っていたので、今シーズン最後であろう炬燵みかんを堪能しているのだがやっぱり堪らなく至福だ。


「でも炬燵に入ってる部分はぽかぽかですけど、背中がスースーするんですよねぇ」

「……これなら、スースーしませんよね?」


みかんの皮を剥きながら背中にうっすらと感じる寒さをそう伝えると、向かい側に座っていた鬼灯さまが何も言わずに炬燵から出てこちらに歩み寄ってきた。
そのまま足の間に私を入れるようにして、真後ろに腰を下ろして背中に鬼灯さまの上半身がぴったりとくっつく。


「ふふ、鬼灯さまのお陰で背中もぽかぽかです」

「それは良かった。はい、どうぞ…食べさせてあげちゃいます。あーん?」

「あーん……うん、やっぱり甘いですねぇ。鬼灯さまも、あーんしてください」


食べさせてくれたお返しにと私も彼の口元に一粒のみかんを持っていくとぱくりとそれを食べてくれた。そんなことを交互に繰り返していたら、あっという間に炬燵の上にはみかん2個分の皮。

テレビに映っていたグルメ番組の特集を見ながら、これが食べたいですとか私はこっちが気になりますなんて何気ない会話をしているだけでもああ幸せだなぁと実感してしまう。


「鬼灯さまは背中、寒くないですか?」

「貴女ほど冷え性ではないので大丈夫です」

「んー…本当だ、炬燵効果もありますけど足ぽかぽかですねぇ」

「…かな子さんは炬燵に入っていても、まだ少し冷たいですね」

「ふふっ、くすぐったいです」


私から彼の足を触ると、冷たいですねと言いながら私の足を触られる。お互い裸足ということもあって、いきなり触られるとやっぱりくすぐったく感じてしまう。

くすぐったいと言いながら私が笑うと、鬼灯さまが今度はこちょこちょと本格的にくすぐってきたので私もやり返してみるとサッと足を引っ込めようとしたからきっとくすぐったいのだと思う。なんだか楽しい、鬼灯さまはくすぐられても微動だにしないと思っていたから。


「鬼灯さまもくすぐったいんですねぇ…ずっとしてたら笑ってくれます?」

「ずっとはさすがに…こんなことしてくるのはかな子さんくらいです、よ…っ」

「ふふっ、えいっ……あっダメですよ反撃は!あははっ」

「やられたらやり返すのが常識でしょう」


しばらくくすぐっていれば鬼灯さまも笑ってくれるかな、としつこく足をこちょこちょと悪戯していたが彼も問答無用で仕返しをしてくる。炬燵の中でごそごそ動いていると、だんだん暑くなってきそうだった。

そんなことを互いに繰り返していると良いだけくすぐったり、くすぐられたりの攻防の末に私の真後ろに座っている鬼灯さまが後ろからがっしりと私の両腕が動かないくらいにがっちりと抱きしめてきた。これはハグというよりも、拘束に近い。


「これは…私の負けですかね?」

「引き分けということにしておきましょうか。少し運動になりましたね…」

「はい、動いたらちょっと温かくなりました。鬼灯さまもぽかぽかですね?」


未だにがっちり抱きしめられているために、しっかりと先程よりも確実に上がったのであろう体温が伝わってくる。
ふと、こっち向いてくださいよと声を掛けられ振り向くとその拍子に互いの唇が重ねられた。更に身体が温まってきているような気がする。何度か啄むように優しい口付けを堪能し、唇が離れるとじっとその切れ長の目が私を捕らえる。


「……可愛い」

「えっ?ど、どうしたんですか…いきなり」

「可愛いのはいつものことですが、くすぐったがるかな子さんも可愛かったです」

「鬼灯さまも可愛かったですよ、どうせなら笑ってほしかったですけど。またリベンジしよーっと」

「……いつか本当に笑ってしまいそうですよ」



そう零した彼の瞳はとても優しく見えた気がする。
何気ない休日に、あなたといるこの時間。それだけで幸せなんです。炬燵の温かさよりも、鬼灯さまの温かさが好きなの。

だから、もう一度…いいえ何度でも、唇から温めて?





「鬼灯さま、もう一回…キス、したいです」

「一回で良いんですか?遠慮なさらず、何回でも」










【診断メーカーより】
鬼灯夢の場合:まだしまえないコタツの中で足をくすぐり合った後、「可愛い」とたまらず呟きました。
#ほのぼのなふたり


17/12/17
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