君に、何を伝えよう?
どんな言葉で、どんな温度で、どんな形で。名前のないこの気持ちを、どんな声で紡ぎ出そう。


振り返った先に見えるこれまでは後悔でいっぱいだけれど、そのどれ一つが欠けても君と共にある今は得られなかった。
あの時ああしていられたら、その時こう言えたら。もし戻れると言われたら僕は、迷うかも知れない。走って行きたくなるかもしれない。
そんな僕を君は笑うかな。ほんの少しだけ泣きそうな瞳で、行ってらっしゃいなんて手を振るのかな。

何度だって迷うよ。何度だって躓いて、立ち止まって、振り返る。ぐしゃぐしゃに泣きたくなって、怒鳴り散らして全部を捨ててしまいたくなる日だってあるだろう。
君に優しくさわれない、そんな夜だって、きっと。


胸を張れる僕でありたい。
顔を上げ先を見据え、君の手を離さずに隣を歩ける僕でありたい。


ここまで歩いて来てくれて、この場所を選んでくれて。
傍にいてくれて、寄り添ってくれて。

生まれ、生きて来てくれて。
出会ってくれて、





さきはうよるに/沖千親子

幾千の優しさの降る、/風千

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