30.現れた新たな刺客?!


 「マジで?何で?何ではるとがココに居んの?はるとは美郷(みさと)と一緒じゃねーの?何で?マジ?」
 「はるる〜、この匂いはマジはるるだ〜…まさか、今年唯一の外部生ってはるるのこと〜?」
 「うん!今日から入学したんだ〜仁(じん)も一成(かずなり)も、十八学園の生徒さんだったんだ…!わーわー、まさか知ってる人に会えると想ってなかったから…俺、すっごくすっごく嬉しい…!!」
 ほんとう、まさかの再会にテンションが上がる…!!
 予想もしていなかった、こんなことが起こるなんて。
 ハイタッチしたり、握手したり、頭を撫でられたり、3人でひっちゃかめっちゃかな触れ合いすら懐かしい。

 「と言うか、すっごく久しぶり!2人共、元気にしてた?他の皆は元気?」
 「「元気、元気、超元気!つか、はると(はるる)は?」」
 「俺はご覧のとおり、元気だよ〜!」
 「そっか〜…つか一成、はると放せよ。お前さっきからムダに抱きつき過ぎだっつの」
 「え、イヤだし。久しぶりだし。仁こそ気ぃ利かせてどっか消えろや朴念仁が。つか、そもそも全員邪魔だし〜?」
 「あぁ…?ヤんのか、コラ」
 「あぁ…?てめぇこそヤんのか、ゴラ」
 「はいはい!そこまで〜!2人共、やめ〜い!!」
 「「痛っ…!!相変わらず鋭い切れ味の両手デコピン…」」
 「へっへ〜腕衰えず〜!精進してますから!」
 「「参りました、はると様」」
 「控えおろ〜」
 「「はは〜」」
 
 ここまでが、いつものお決まりパターン。
 俺たち3人、顔を合わせれば、こんな風にいつもじゃれ合って。
 ふざけまくって。
 目を合わせて、爆笑。
 変わらないこの一連の、もう何度繰り返されたかわからないパターンに、心の底からホッとなり、顔中の力も抜けて、ほんとうに笑えたのがわかった。
 仁も、一成も、笑ってくれて。
 あぁ、楽しいなあ。

 「仁と一成は何組?俺はA組なんだ〜さっきの式の時は見かけなかったから…もしかしてクラス、結構離れてる?」
 さり気なく、ふと浮かんだ疑問を口にした。
 まぁ、近くても遠くても、いつか遊びに行きたいなぁとか、想ってるけれど。
 そう言い終わった途端、2人共、はっとした表情になった。
 あれ?
 なぜだか、「夜の顔」になってない?
 
 「あー…イカンイカン。やべーわ俺、はるとの癒しパワーに流されまくってたわ…」
 「しっかりしてくださいよ〜そーちょー!なんつって、俺も〜はるるとの再会にフワフワしてっけど?」
 「目ぇ、覚まさねぇとな、一成?つか、離れろっつの!」
 「アイアイサー、仁!つか、離れねーっつの!」
 「……ま、しょうがねーか……久し振り過ぎだしな。大目に見てやるよ」
 「さんきゅーそーちょー!でも3Pはヤだからね〜」
 高身長の2人、一成には抱きつかれたまま、仁には頭をわしゃわしゃ撫でられるまま、頭上で繰り広げられる会話に、俺は首を傾げていた。

 その時、腕を引っ張られた。
 強く。
 俺の腕を引っ張った先には、今までと比較にならないほど、眉間にシワを刻みこんだ美山さんがいらっしゃった。
 「……っちっす、仁さん、一成さん……アンタらが此所を張ってた意味は薄々わかるけど……んで、2年のアンタらが前と知り合いなんスか?つか、こんな目立つ所でソイツにくっついて騒ぎ続ける意味…アンタらに覚悟はあるんですか?」

 美山さん?!
 低い低い声と、険しく細められた眼差しと、身体中から発せられる雰囲気…かなり、かなり怒っていらっしゃる…?!
 どうして?
 …と言うか美山さん、仁と一成とお知り合いだったのか!
 まったくもって知らなかった…2人から、美山さんのお名前を聞いたことはないし、会ったこともないし…
 いやいや、しかし、確かに食堂付近という人の往来が激しい公共の場所で、久しぶりに友だちと会えたからって騒ぐ俺が悪い。
 ここは俺が引くべきだ。
 クラスの皆さまと一緒に来たことだし、仁と一成には後で、どこか落ち着ける場所でゆっくりと…

 って。


 「えええ〜?!2人共、2年生っ?!」
 「「「「「そこかい!」」」」」


 あれ?
 あっちこっちからツッコミが来た!

 けれども、ずっと同い年だと想っていた2人が、1年先輩だと知って、俺はものすごーくびっくりしてしまったのです。
 道理で2人共、どこか大人びて、しっかりなさっていて…
 身長も高ければ、体つきも良い、それはやっぱり1年成長が早いからであって、俺に問題があるわけじゃなかったんだ、うんうん!
 いやはや、しかし…

 「俺、今までごめ、」
 年下なのにタメ口で喋ったり、呼び捨てしていた不敬をお詫びしようとしたら。
 仁には更に頭を撫でられ、一成には「しー」って人指し指を立てられた。
 「そういや俺ら、自己紹介で年齢言い合ってなかったな〜」
 「ま、今更なんじゃない?」
 「で、でも…ごめ、」
 「つか、年とか関係ねーし?いきなり敬語とか敬称とか止めてくれよ〜?他人行儀に取り繕うような仲じゃねーだろ?」
 「そうそ!はるるは俺らのお母さんなんだからさ〜新事実発覚後も今まで通りお願いにゃ〜」

 気さくな2人が、笑ってくれたから。

 「うん…ありがとう…!俺も、折角仲良くなったから…今まで通りでいたいなって想った…ありがとう、仁、一成」

 ほっとして、心から笑った。



 2010-07-14 22:31筆


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