20.アイドルコンサート終了!
そんなこんなで、俺が初めてのアイドルコンサート…じゃないや、なんだっけ…生徒会御一行さま披露宴…じゃない、十八さんのお仕事参観…?ええと…
「――これにて、十八学園第100回目の入学式を終了致します」
あ、そうそう!
入学式だった!
俺も今日から、晴れて十八学園の一員なんだった。
「新入生は各担任の先生方に従い、クラス毎に速やかに退場し、各教室へ戻って下さい。
個人での行動は禁止です。尚、学園各所に風紀委員、先生方が待機し見回って居ります。個人行動、HRの不参加等、規律を乱した新入生は、発見次第取り締まります。重ねて速やかな教室への移動を呼び掛けさせて頂きます」
う…?
なんだかすごく、迫力あるアナウンスだ…!
コンサートの後だからハイになっちゃって、つい騒いじゃったり、まっすぐ教室へ戻らない生徒さんが多い、ということだろうか。
それを示すかのように、まだザワザワと余韻が残っていた会場内、冷静なアナウンスが響いた途端、しゅんと静まり返ってしまった。
うーん…
あれだけ、きらびやかなアイドルさまたちだ。
お1人お1人、とても整った造作で個性豊かで、それぞれにカリスマ性があって。
グループ全体の雰囲気を好まれる御方もいれば、特定の御方だけを真摯に追うパターンもあることだろう。
寝ても醒めても夢現で大好きで、憧れだったり尊敬だったり、恋心だったり…
もしくは、そういった淡い感情ではなくて、単純に好きだ、という御方もいるかも知れない、友愛や家族愛みたいな。
体育会系の縦関係のように、先輩として慕う御方もいらっしゃるだろう。
いろいろな視点がある。
いろいろな接点がある。
いろいろなキッカケがある。
そんなふうに、周りにいろいろな想いを抱かせる、強い存在感あるアイドルさまたちを拝見した後、だからすぐに興奮なんて冷めないだろう。
現に、アイドルさまたちの存在を知らなかった、新参者の俺でさえ、ご登場時の熱気に浮かされたまま、その後のコンサートの状況はおぼろげだ。
彼らのMCの後から、ぼうっとしたまんま。
ほんとうにすごい存在なんだなぁ…
そんなアイドルさまのお1人に、昨日、理事長室まで案内して頂いただなんて!
早くもきらびやかな想い出ができてしまった。
これから始まる学校生活の、華やかな想い出として記憶に残っていくだろう(母さんにも自慢しないと!)。
あいはらさんは、熱に浮かされたように、今にも感動で泣き出してしまいそう、バラ色の頬をますます真紅に染めてうつむいている。
生徒さんたちのザワザワも、アナウンスの後は治まったものの、感動の呟きがあちこちから聞こえる。
すごいなぁ…
いい体験させて頂いてしまった。
ごくごく地味な一生徒で外部生の俺、この先、アイドルさまたちと接することなんて生涯ないまま、淡々と卒業することになるだろう。
うん、いい人生経験ができたことに、感謝感謝!
アイドルさまたちと、アイドルさまたちを慕う、あいはらさんたち皆さまが、毎日元気で楽しく学校生活を送れますように!
俺はコッソリ、心の中からお祈り申し上げております。
2010-07-02 23:24筆[ 72/761 ][*prev] [next#]
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