18.手のかかる子供たち、更に登場!


 生徒会長さまの呼びかけで、複数の生徒さまが壇上に登場したのと、更に熱量を増した歓声で建物内が揺れたのは、ほとんど同時、だった。

 すごい。
 とにかく、すごい。
 
 目をしばたたかせながら、俺は、ポカンとするばかり。
 ここが学校だなんて、入学式の途中だなんて、とても想えない。
 大人気アイドルグループの、チケット入手困難なコンサートに、うっかり紛れこんでしまったのかと。
 そう錯覚してしまいそうな、ものすごい熱気と歓声。
 もう感極まり過ぎて涙を流さんばかりに打ち震えている表情、ひたむきな視線はすべて舞台の上に注がれていて。
 警備員代わりの先生方、俺と同じようにうっかり紛れこんでしまった方々は、ただただ滝修行の如く耐えておられる。

 これだけの、多感な時期の最中の生徒に、様々な感情を呼び起こさせる存在。
 先生方も制御し切れない程の、すさまじい興奮の波。
 十八さんの学校の生徒会って、すごい。
 生徒さん全員に、いろいろな意味で注目を集めている、大きな存在なんだ…
 十八さんに聞いてはいたものの、俺の想像を遥かに超えている…


 『先ず、3大勢力の中でも筆頭の生徒会……彼等はね、言うなれば学園のアイドルなんだ』


 大真面目にそんなことを言っていた、十八さん。
 聞いた瞬間、母さんと噴き出してしまったけれど…
 悪いことしたなぁ…
 決して大げさな表現じゃない、冗談でもない。
 生徒会の皆さんは、学園のアイドル…
 ア、アイドル……!
 その言葉の響きは、なんだか、ちょっと笑えてしまうけど…
 うーん…
 
 止まない嵐の中、生徒会長さまが、隣に立った生徒さんにマイクを譲ったのが見えた。
 と、想ったら、副会長さまだった。
 その途端、「りひとさま〜!!」コールが集中…!
 「第100期生徒会副会長を務めさせて頂きます、日景館莉人です。皆さんとまた再会する事ができて、大変嬉しく想います。宜しくお願いします」
 流石、副会長さま!
 笑顔がキラキラだ〜!
 「プリンス〜!!」っていう声も聞こえる…うんうん、納得、副会長さまはプリンスっぽい…けど、プ、プリンス…!

 「はいは〜い!皆、会いたかったぁ〜!同じくぅ〜生徒会書記、1年の天谷悠(あまがい・ひさし)で〜すっと。よろしくぅ〜」

 ん?
 副会長さまの次に壇上に立ったのは、皆さまと同じく背が高い男子生徒で……
 なんだか……
 なんだか、見覚えがあるようなないような…
 そんな複雑な気持ちになるのは、なぜだろう…
 想わず俺は、壇上から目を逸らしてしまった。
 向こうは何も気づかなかったようだ、ということは、人違いに違いない。
 うん、大丈夫、大丈夫……
 同姓同名なんて、よくある話、だよね…?
 ね…!
 大丈夫、大丈夫、大丈夫!!



 2010-06-20 23:03筆


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