76.七々原優月と七々原満月


 こーちゃんに誘われたから、親衛隊ランチはお断りー!
 やりぃ!!
 こーちゃんは生徒会長だから、学園でたった1人しか居ない(あれ?理事長もだっけ?)ブラックカードの持ち主なんだ。
 だから食堂も実は、裏技使えて豪勢なんだぜ。
 男前はひと味違うんだぜー! 

 こうやって頻繁に奢ってくれんのも、先代先々代の大バカ会長とは違う、太っ腹なところ。
 こーちゃんは全っ然太ってないけどね。
 腹筋すげぇ!けどね。
 真の男前は違う。
 うーん、今度の男前同盟ミーティングのテーマは決まったな。
 ゆーとみーの大好きなもので埋め尽くされた目の前のテーブル、ごちそうを平らげながら2人で頷き合った。

 「ゆーみー、口!陽大居ねえとダメダメだなー」
 「「ぶー昔っからですぅーーー」」
 「知ってるけど」
 ふーんだ。
 微笑いながら口元を拭ってくれるこーちゃんに、ツンツン。
 お母さんが居なかった頃は、ずうっとこーちゃんのお仕事だったんだから。
 幼等部からずっと、こーちゃんは面倒見の良いお父さんだった。
 ゆーみーがイジメられてたらすっ飛んで来て、イヤなヤツらから守ってくれた。

 どっちがどっちかわかんないからキモチワルイ。
 そっくりすぎてイミワカンナイ。
 どうしていっしょにいるヒツヨウガアルノ。
 そっくりいっしょなら、フタリモイラナイデショ。
 今ならわかる。
 クソガキ共から心ない言葉言われたからって、別に気にする必要ない事、でもその時は毎日辛かったんだ。
 
 見分けつかないって、パパママにも言われてたもん。
 なのにこーちゃんは、初めて会った時から1番に見分けてくれたの。
 『おれのいえにも、ふたごがいる』
 って言って、どんな格好してても絶対にどっちがどっちかわかってくれたし、いつでも助けてくれたし、逆にゆーとみーが悪い時はちゃんと叱ってくれた。
 一緒にふざけたりサボる時もあったし、しっかりしなくちゃいけない時は教えてくれた。

 お兄ちゃんが居たらこんなカンジ?
 ううん、こーちゃんは頼れるお父さんだ。
 だから中等部から始まった寮生活も、全然寂しくなかった。
 こーちゃんが居てくれた、「ゆーとみーは1人でも最強だけど、2人揃ったらもっと最強だな」って言ってくれたから平気だったの。
 嫌な目に遭った時の対処や危険な時の逃げ方、遊び方まで全部、ぜーんぶこーちゃんに教えてもらったから、大丈夫なんだもん。

 ホントはね。
 もう高校生だ。
 それにこーちゃんは後1年で卒業しちゃって、外部の大学に行くって言ってるから。
 2人だけになっても大丈夫な様に、とっくに心構えはできてる。
 いつまでもこーちゃんに甘えていられないって、わかってるの。
 ごはんだってホントは、ちゃんとキレイに食べられる。
 お母さんのおかげで好き嫌いもなくなったし。

 服とか、ちょっとずつ子供っぽいのから卒業していってるよ。
 こーちゃんが卒業する時、安心してくれるように。
 もう大丈夫、俺が居なくても心配ないなって、安心して卒業できるように、頑張って準備してるんだ。
 大好きなこーちゃんに、コイツらガキの頃から変わってねえ、手がかかって厄介!って想われたくない。
 成長したな、男になったなって少しでも認められたい。

 そうしたら大学が離れても、じゃあバイバイ!で終わらないでしょ。
 きっと今よりもっと大忙しのこーちゃんで、ゆーとみーも将来の事、真剣に考えなきゃいけなくなるけど。
 たまには会えるよね。
 ちゃんと成長して、認めて貰えたら、大丈夫。
 憎き旭みたいに、対等にはなれないかも知れないけど!
 何でアイツがこーちゃんの特別な友達なのか、それこそ意味わかんないけど!

 旭の事を悪く言ったら、こーちゃんにマジギレされて絶交寸前になったから、発想の転換なのです。
 こーちゃんはゆーとみーの事を可愛がってくれるから、その強みを活かすのです。
 尚かつ成長した所を見せて、ハートをぐっと掴むんだぜ!
 ホントのホントは、卒業の事なんか考えたくない。
 中等部の卒業とは違うもん、簡単に会えなくなる。
 だけど、こーちゃんが嫌な事は先に片付けたら気楽って言ってたから、先に考えたんだ。
 
 見てて、こーちゃん!
 こーちゃんのお見送り会は、ゆーみーが中心になって盛り上げるからね!
 泣いたりなんかしない、いっぱい笑って今までありがとう、またねって言うから。
 今はまだ、良いでしょ。
 こうして甘えてても良いでしょ。
 3学期ももう少し残ってる、こーちゃんは2年生でゆーとみーは1年生。
 覚悟は決めてるから、もうちょっと甘えさせてね。



 2014.8.15(fri)17:35筆


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