14.ねえ、ここマジで学校?(作者独白)
座り心地に感動している間に、推定・担任のさまは全員の着席を確認してから、速やかに去って行かれた。
なにやら他の先生方の視線を集め、注意されている気配…
わ〜…先生さま、大丈夫だろうか…
ダッシュの甲斐あって、なんとかギリギリ9時29分に着けたんだけれど。
やっぱりギリギリじゃまずいよねぇ…
そんな心配を他所に、壁の上部に備えられたスピーカーから、晴れやかな曲調のクラシック音楽が緩やかに聞こえてきた。
全体の空気が、急に、ぴりっと引き締まったのを感じた。
先生方はもちろん、生徒さん方も私語を慎み、きりっとしておられる。
俺も慌てて背筋を伸ばし、姿勢を正した。
やや経ってから、クラシックをBGMに、よく通る、プロのアナウンサーのような男性の声が響き渡った。
「――これより、十八学園第100回目の入学式を行います。在校生、新入生、全員起立」
おぉ…!!
いよいよ、始まる!!
司会進行の方の姿は見えない、どこか別室でアナウンスされているのだろうか。
ひそひそと、「十左近(じゅうさこん)様…やっぱり素敵なお声…」っていう呟きが、あちこちから聞こえたような…
「………前」
「へ…?はい?」
左隣からちいさく声をかけられて、視線を向けたら、美山さんのしかめっ面と遭遇。
昨日見た時よりもずっと、眉間のシワ数がハンパない!
「……これから、事あるごとに一区切りのアナウンスが入る。その直後、常に両耳塞いでろ」
「え…?!」
「理由を説明してる間はない…それに、すぐわかる。とにかく、両耳塞いどけ」
「え?え?は、はい…」
耳を、なぜ…?!
よくわからないけれど、美山さんの真剣さと眉間のシワ数に圧されるがまま、ここは素直に従おうと、両手を耳に持って行こうとしたら。
今度は、右隣から腕をツンツン。
視線を向けたら、あいはらさんだった。
「一応言っておくけど。生徒会の皆様が後で登場された時、あんたみたいな平凡の分際で、皆様に一瞬でも惹かれようものなら許さないんだからね!生徒会の皆様とは視線を合わせないように!」
???
よく、わかりません…
ごめんなさい、あいはらさん。
仰った内容がよくわからないんだけれども、わからないながら、こくこく頷いてしまいました…
あいはらさんの視線と勢いが、ものすごく真剣だったから。
なんだか、わからないことが多い。
俺にはまだわからない、この学校のルールがあるんだろう。
とりあえず、追々わかって行けばいいだろうか。
ずっと在学されておられるらしい、先人の美山さんとあいはらさんの教えに、従っておけば間違いないよね。
郷に入らずんば郷に入る。
では、耳を塞ぎましょ………
「始めに、十八学園理事長、十八嘉之氏から祝辞を頂きます」
「「「「「きぁああああああ…!!!」」」」」
「「「「「理事長様ぁ〜!!!今日もステキ〜!!!」」」」」
2010-06-02 23:23筆[ 66/761 ][*prev] [next#]
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