44.双子猫のきもち 第7号
うお〜満たされたぜ!
「「余は満足じゃ。でも、ジュースおかわりー」」
今日は親衛隊の皆と、月イチのお茶会だ。
お庭で仲良くアフタヌーンティーを満喫中だぜ。
親衛隊は良い人ばかりだし、ゆーとみーを何かとサポートしてくれるし、このお茶会さえ顔出しておけば平和だから、マジメに参加してる。
からっぽになったグラスを同時に差し出したら、総隊長がにっこり笑って、ふと時計を見つめた。
2年生のこの隊長、いかつい見かけの割に優しくてしっかり者で、頼りがいある兄貴みたいだ。
当人はお菓子作りとか手芸が好きな乙女チック思考だから、兄貴なんて呼んだら傷ついちゃう。
陰でこっそりと尊敬込めて呼んでる、とっておきのあだ名、ゆーとみーとこーちゃんだけの秘密だった。
今まで3人だけの秘密だったけど、実はもう1人、秘密を共有してるんだもんね。
「優月様、満月様、そろそろ生徒会のお時間ですね」
「あ!もうそんな時間かぁ」
「でも、最後にもう1杯〜」
「宜しいのですか?生徒会でお茶のご用意があるのでは…此所でお腹を満たし過ぎては支障があるかとお察ししますよ」
優しく言われて、他の隊員からも心配そうに見つめられて、2人ではっとなった。
そうだ、お茶会でお腹いっぱいになってる場合じゃないんだった!
「「わかった〜じゃあ、ゆーとみー、もう行くね」」
「「「「「優月様、満月様、お茶会参加ありがとうございました」」」」」
「「「「「お気をつけて。生徒会頑張って下さいね」」」」」
「「うん、バイバーイ」」
皆に手を振って、総隊長にも手を振ったら、そうそうってカワイイ紙袋を渡された。
「優月様、満月様、お母さんにどうぞよろしくお伝え下さい。いただいたドーナッツ、とっても美味しく皆でいただきましたと…これ、お礼のマドレーヌです。お渡し下さいませ」
「「うん、わかったー。またね、兄…じゃない、香澄(かすみ)先輩」」
危ない危ない!
うっかり兄貴って言っちまうところだったぜ。
いつまでも優しく手を振ってくれる皆に、ぶんぶん両手で応えながら、急ぎ足。
さあて、今日も楽しい楽しい生徒会の始まりだぜい!
ゆーとみーはゴキゲンなのさ!
最近、毎日楽しくて仕方がないのさ。
お母さんが生徒会に来てくれて、面倒なだけだった仕事にも精が出るってもの。
お母さんの手作り弁当、手作りおやつ、手作り夜食も幸せのひとつだけど。
こーちゃんの補佐になったお母さん、ゆーとみーのドキドキ・ラブラブ大作戦を仕掛けるのが楽しすぎる!
早くくっついて欲しいけど、やっぱり地道な1歩1歩が大事だよねーと、顔を見合わせて頷き合いながら、生徒会にとうちゃーく。
むう?!
「こんにちは、優月さん、満月さん」
「おー、ゆーみー、今日も早ぇじゃん。お疲れさん」
「「ちわっす」」
なんと部屋にはこーちゃんとお母さんしか居ない、2人でこーちゃんのデスクに寄りかかる様に立って、お話しているところだった。
チャーンス!!
荷物を置いて、もぞもぞしているフリをしながら、真剣に学園祭がどーのこーの言ってる2人にそおっと、そおっと。
「「うおー足が滑ったぜー!」」
「うっ?!」
「あ?」
どしーん、ゆーとみーと2手に分かれて、背中から体当たりの術ー!
お話に夢中で油断だらけの2人は、見事に引っ掛かった。
残念ながらこーちゃんは、どんなにぶつかっても揺らがない(体軸?がぶれないらしい、難しくてよくわかんない)けど。
お母さんは鍛えてないから、前につんのめって転びそうになった、それをこーちゃんが抱っこするみたいに慌てて支えて。
「「何かこの床滑るよぅー」」
支えたところに、更にどしーん!
ふふふん、床が滑りやすいのは本当なんだもん。
今朝、床掃除の業者が入ったからね、ワックスがピカピカで、だから嘘じゃないもん。
ゆーみーW攻撃を受けた2人は、まんまと抱っこ状態!
そのままラブラブになっちゃえよー!
口笛吹きたい気分になりながら、「「ごめんね、お父さん、お母さん」」と足が痛いフリの泣きそうな顔で一応謝って。
「「お詫びにジュース入れてきてあげる」」
すたこらさっさ、キッチンへ駆け込んだ。
グッジョブ、ゆーみー!
そうっと、ぽかんとして引っついたまんまの2人をコソ見しながら、ちいさくハイタッチし合った。
「「はー…今日も良い仕事したぜ」」
グッジョブ!
この調子で頑張るぞぅ、オー!!
2014.4.4(fri)23:29筆[ 577/761 ][*prev] [next#]
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