188.武士道ロック(3)by 苅田


 おーらよっとぃ!!
 一丁上がりぃ!!
 「これで最後かね〜」
 「「「「押忍!」」」」
 そーちょーの問いかけに応じながら、とっくにノビてるクソヤローを手放した。
 「ひ、ひぃっ…だ、誰かっ…」
 「おっとー『誰か』?どこの誰様が俺らの邪魔できるって?連れて来いよ、今すぐ」
 「うぇっ…」

 あ〜あ、泣いちったね。
 「「「「お母さんは泣かなかったのに」」」」
 お母さんは偉いんだ。
 そして強いから、何があっても泣かないで頑張る。
 なのにコイツはどうよ?
 クソ卑怯な事しておいて、全校生徒の前でヒドい目に遭ったお母さんは泣かずに勝負に勝ったのに、俺らしか居ないここでメソメソするとか。

 馬鹿じゃねぇの。
 くっだらねぇ。
 どんだけ殴っても足りねぇっつの。

 俺ら4人の気持ちは、お母さん関連限定で、不思議と被る事が多い。
 しかも今回、そーちょーも副長もキレてっから、俺らには雑魚しか回ってこない。
 消化不良、そろそろ晴らしてぇな。
 そろそろ良いんじゃね?
 そーちょーも副長も、さっきから目一杯ヤってっし。
 けど、いきり立つ俺らより先に、副長のが速かった。

 「ごめんね…?そりゃあ怖いよね…軽い気持ちでヤった事だもんね〜?ここまで悪気なかったよね。俺は〜、それが許せねぇ」
 「ぐはっ…ぁ、あっ」
 「反省も謝罪も要らない。誰の指図とか、君の意志とか、どーでもいーの。あの子より恐怖でいっぱいになって、痛い目に遭って、2度と近づかないでくれたらそれで良い」
 俺らの取り分、ゼーロー。
 残念無念。

 ま、一成サンがマジギレしてんの見れて、得っちゃー得だけど。
 赤狼といい、このイカレた学園で一成サン怒らせるとか、コイツらある意味天才だ。
 昔はどうあれ、お母さんに出会ってから、俺ら皆変わった。
 そーちょーと副長が1番変わったけど。
 それまでケンカなら何でも来いや!だった、やたらトガって滅茶苦茶だった俺らは、お母さん中心のチームに変わった。

 お陰で前よりもっとすげー楽しくなったから、大事なお母さんを守る為なら、俺らは本気になる。
 お母さんを傷付けるヤツは、誰だって許さねぇ。
 今まで外で会ってたお母さんに、学園で会えるようになったから、尚更その気持ちは増した。
 相手が喧嘩道常勝のバ会長だろーと、俺らは戦うんだぜ!
 
 「にしても〜退屈〜」
 「あーあ、お気の毒だな、相手のあのコ」
 「吉河のタイプじゃね?キレイめ可愛い系」
 「馬鹿を言うな。俺の理想はお母さ、」
 「「「それ言わない方が良いって。次に吉河ヤラれんぞ」」」
 「…一成サンに殴られるのか…うーん…」
 「「「ナニ検討してんの…お前、マゾだったの?キモチワルっ」」」
 
 しっかし見事に狙い撃つよなぁ、副長。
 相手の意識を覚醒させたまんま、的確に急所ギリ避けしつつ、身体に恐怖を叩き込むって、拷問の達人みてーだわ。
 あんまスタミナねーらしー副長のやり方、かなり勉強になるんだよな。
 銀色の鬼副長、お母さんいる限り健在ってね。
 これでまた、お母さんに悪さするクソヤローは減るんじゃね。

 最終的にはバ会長ん所の親衛隊にまで、闇討ち行くんじゃねぇかなぁ。
 その時はぜってー連れてってもらおっと。
 連れてってもらえなくても、コッソリ付いていくけど。
 のほほんと4人で傍観してたら、そーちょーに連続ゲンコツ喰らった。
 「「「「いってぇ!」」」」
 「オラ、トンチンカンよしこ!見てねーで止めろっつの!!俺ばっか一成抑えてんじゃねーか。このままだと、はるとが余計泣く事態になんだろーがっ!」

 それは一大事!
 そーちょー怒っても怖くないけど、一成サン止めんのは恐ろしい。
 だけど一成サンの暴走で、お母さんが哀しむのはもっと恐ろしい!
 哀しむ余り、お母さんから「暴力振るう武士道なんか嫌い…もうウチの子じゃありません!」なんて言われたら、俺ら立ち直れねーし。
 お母さんには、笑ってて欲しいから。

 体育祭終わったら、十八ホームでいっぱい遊ぶって約束してるから。
 「「「「副長、ストーーーップ!そいつ、もう意識ねーっす!」」」」
 笑顔のお母さんに会う為なら、命懸けて副長止めるぜ!



 2014.1.14(tue) 22:29筆


[ 526/761 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[しおりを挟む]

- 戻る -
- 表紙へ戻る -




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -