181.ゼロ!!


 「さて!いよいよ始まります。十八学園第99回体育祭、最終種目。会場内の皆様も薄々ご承知の通り、今年は柾生徒会長が参戦の為、コスプレ競技へ変更されました、障害物2人3脚。司会は引き続き、私十左近と」
 「イェーイ!ハニー達、元気かィ?!所古だよィ」
 「…何だ、そのテンション…何故このメンバーに選出されたのか謎だが、日和佐だ、よろしく」
 「俺も何で呼ばれたんだろう…宮成だ、よくわかんねーけどよろしく」
 
 「何でしょうねー、取り敢えず3年生ぶち込んどけ的な、実行委員達もここへ来て疲れが目立ってるっつーか、何でもこっちに押し付けりゃ良いと想いやがって…もっと年長者を敬うとか労るとかないのか、大体俺ら3年は、」
 「落ち着け落ち着けィ。なるほど、俺は俺らの役目がわかった!なァ、日和佐」
 「そうだな。十左近のストッパーか」
 「え、マジか…何で最後の最後でこんな目に…」

 「付き合え。当然だろ。苦楽を共にしてきた俺らの仲じゃねーか」
 「「「ちょ…余計な事言うなよ…キャーって言われてんぞ…」」」
 「あ?あーはいはい。わかってるっての、進行すりゃいーんだろ、進行すりゃ!あ?マイク通して筒抜けだって?!わかってやってんだっつーの、馬鹿じゃあるまいし」
 「おォおォ、十左近は開会式からずっとキレっ放しだなァ」
 「気持ちはわからんでもないがな」
 「ま、最後だからいーんじゃね」

 「では元気に明るく進行して参りましょう!選手入場まで少し時間がありますね。現場の片前さーん?」
 「はーい、こちら先攻選手待機場所の片前です。十左近先輩、ご心痛お察し致します!選手の姿はまだ見えませんがー、現場付近は既に歓声で盛り上がってますよー聞こえてますかー?」
 「おー、盛り上がってますねー!…柾の親衛隊が殆どだな、こりゃ…片前さん、ありがとうございまーす。所古の管理はお任せ下さい」
 「はい、お世話お掛けしますがよろしくお願いしまーす!」

 「あのなァ…十左近も片前も、」
 「では!お次は、現場の渡久山さーん?」
 「はい、渡久山です。こちらは後攻選手の待機場所ですが、つい先程まで不穏なカメラを所持した輩が多数徘徊していた為、速やかに風紀が連行致しました。どなたも安心して競技を楽しんで下さい」
 「さ、流石ですねー…心強いですねー…渡久山が後攻に居るって、選手はラッキーなのかアンラッキーなのか…」

 「何か仰られましたか、放送席の十左近先輩」
 「いえ、何も!ええと、引き続きリポートと警護をよろしくお願い致します!日和佐と宮成も応援しておりますので!」
 「「あ、ああ…勿論だ…」」
 「ありがとうございます」
 「いやーそれにしても最終競技なだけあって、選手の警護も然る事ながら、このグラウンド内!まさに山あり谷ありの障害物が用意されましたねー会場の期待も最高潮です!おっと、ブラスバンドの演奏が静かに始まりました」

 「今回の演奏も見事だねェ!可愛いコちゃんばっかりだァ」
 「所古、止めろ。お前は喋るな」
 「気持ちはわからんでもないけど…危険発言は慎もうぜ」
 「所古も宮成も1回ものすげー悲惨な目に遭うと良いんじゃないかな!では皆さん、それぞれ今回の注目選手、期待する点をコメント下さい」
 「堅くて怖いねェ、十左近は!んー、注目選手つーか、全員の期待はAチームの柾&前ペアだろうねェ」
 
 「良い意味でも悪い意味でも期待が高いな。初コンビ、どう出るか。柾はとにかく、クンちゃ…お母さんがどこまで化けるのやら」
 「コスプレだもんなー柾は慣れてる分、常に期待上回るプレッシャーとか…んなの無いか。Cチームのペアもコスプレ常連の強豪選手同士だし、Fチームも侮れねーな」
 「うーん、流石3年生。ポイント抑えた新鮮味に欠けるコメント、ありがとうございます。俺も同感だけどさ」
 「「「何か腹立つな」」」

 「事前情報に因ると、今回は世界的メイクアップアーティストの息子で、自身も既にプロ同等の腕を持つ漣太郎(さざなみ・たろう)氏が、裏方を纏めているそうですよ。タローちゃんが誰を担当したのかも楽しみですねー」
 「「「へぇ、そりゃ凄いな」」」
 「あ?あー…ハイハイ。…はいっ!!たった今、選手の準備が整ったようです。これより最終種目、障害物2人3脚を開始致します!どのチームの皆様も、大きな拍手でお迎え下さいっ!先ずは、先攻選手の入場です!!」

 「「「プロだなー十左近」」」
 「おぉっ?!ちょ、見ろよお前ら。今年は和風かー!企画組考えたな。何か新鮮じゃね?」
 「素が出てんぞ、十の字。おォ、こりゃ見事だねェ!圧巻だァ。どいつもこいつも色男じゃねェの。という事は可愛いコちゃん達も期待大だねェ…ふっふっふ」
 「ほう…これは見事だな。洋物ばかりで食傷気味だっただけに、鮮やかだ」
 「へぇ、面白いじゃん。着物かー走んの大変そうだな。つか、柾だけ素っぽいな」

 「ここは片前さんの出番ですね。現場の片前さーん?」
 「はーい、再び片前です!予想外の和風コスプレ、先攻選手は全員『サムライ』がテーマだそうでーす!因に刀の中身はすべて木刀、フンドシまでは流石に着用していないそうでーす!」
 「「「「「キャアアアアア!!」」」」」
 「「「「…今…何で『キャア』?」」」」
 「つい先程、皆さん大注目!Aチームの柾選手に少しだけお話お伺いできましたー!自信の程は?!の問い掛けに、『なかったら此所に居ねえ』との事でしたー」

 「「「「流石だな…つか片前、柾のモノマネ上手いな」」」」
 「Fチームの選手にもお伺いしましたー!Aチームと優勝争いで大接戦の最中、『必ずAチームぶっ潰す!』との気迫溢れるお声頂戴致しました!」
 「「「「なるほど。勝たないと金と銀からお仕置き必須だろうな」」」」
 「片前さん、貴重なレポートありがとうございまーす!後攻選手の登場が待ち遠しいですねー。つーか最早、全員柾しか見てませんねー何だ、あのラストサムライっぷり。アクセじゃらついてんのに、何でかねー?歓声すご過ぎて放送ガン無視ですねー」

 「「「ペアの前が気の毒だな」」」
 「確かに。大丈夫かねーお母さんは…っとぉー、後攻選手がいよいよ登場します!!改めて選手の皆様に大きな、大きな拍手をお送り下さい!!さぁて、勝負はここから始まります!先攻選手と異なり、後攻選手の紹介はございません。会場内も一丸となってチームのペア探しを楽しもうではありませんか!!おぉー、期待を裏切らない艶やかな姫君ばかり、誰が誰かわかりませ…ん?!」
 「「「あの一際目立ってるお姫様、誰?」」」

 「と、渡久山さーん?!」
 「はい、渡久山です。先攻選手と異なり、こちらは私語厳禁の為、1人1人にインタビューはできかねますが…たった今、裏方のタローちゃんに聞いた所、後攻選手のテーマは様々な『和装美人』だそうです。皆様ご承知の通り、今回の障害物2人3脚にはコスプレと小芝居が用意されています。それぞれの小芝居に沿ったコスプレで、『武士といろいろな形の恋』がシナリオテーマだそうです。ですから、貴族や武家の姫君、花魁、町娘、未亡人など様々な和装を取り揃えたとか…それにしても華やかですね。現場はとても色めき立っております」



 2014.1.6(mon)22:55筆


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