175.わーい!100人で食べたいな!
まるでジェットコースターだ。
もしくはフリーフォール?
今日を迎えるまで長かったような短かかったような、だけど各チーム共、入念な準備と練習に明け暮れて臨んだ本番。
始まってしまったら、あれよあれよと言う間にもう午前の部、終了!
目の前がチカチカしているような、熱気と歓声でぽわあっとなって、なかなか落ち着けない。
十八さんのご挨拶があってよかった!
今日までの皆さんの頑張りと、午前の部へ対する温かい労いの言葉に、生徒さん皆さんも少しほっとなさったお顔になっておられた。
そして、午後の部へ対して各チームへの健闘を祈ってくださった、力強い励ましにも改めて身が引き締まる想いです。
ありがとうございます、十八さん!
お陰さまで俺の気合いも改めて入った。
今のところ、Aチームは首位を守っている。
しかし次点には強豪Fチームが続き、他チームとの競り合いもなかなか厳しい。
首位独走ではない、例え独走だとしても、いい気になっていてはいけませんね。
まだまだ油断ならない体育祭。
午前の部もそれは華やかな競技がこれでもか!と詰め込まれていたけれど、午後は更にヒートアップ間違いなしのラインナップだ。
危うく俺の所為で取れなかったかも知れない学年混同リレー、先輩方のお力に頼ってばかりいないで、俺も少しはお力添えできるように張り切りますよー!
ふんふん燃えている間に全体解散、昼食休憩になり、グラウンドからAチームのテリトリーに戻った。
お昼ごはんは各チーム、自由に取る。
食堂、購買、ショッピングセンター、どこを利用しても良いけれど、緊急を要する用事以外で寮への立ち入りは厳禁。
チームの1人でも午後の部スタートの時間を守れなかったり、何らかの違反行為があった場合は、全体の責任となり、総合得点から大量にマイナスされてしまう。
毎年、ここで不利になるチームさんが多いそうだ。
それでも各自、ごはんぐらいは自由に取りたいと、チームを離れて行動なさる場合が殆どなんだとか。
お気持ちはわからないでもないですねぇ、先輩方とかアイドルさまとかキラキラのイケメンさんがいらっしゃいますものねぇ。
だがしかし、我がAチームはひと味違う。
お昼休憩もチームで取る。
午後の部へ向けて、食事を共にすることで、少しでも結束を固める為に。
主に旭先輩たちバスケ部さんが中心になって、決まったことだった。
練習中の段階から、休憩は一塊になって取るようにしてきた。
最初はかなり反対意見も出たけれど、今となってはもうこれが当たり前、萎縮しておられた方々も気になさらないようになった。
皆さんと和気あいあいと休憩するのが、俺は最初からワクワクして好きだった。
問題はあったけれど、いきなり打ち解けられたわけじゃないけれど、やっぱりこの方針のお陰で、Aチームの結束はかなり強くなったと想う。
今日はこのチームで最初で最後、本格的にお昼ごはんだ。
モリモリ食べて午後も頑張りましょうねー!
というわけで。
「「「「「お母さん、お腹空いたー」」」」」
「はいはい。お待たせいたしました。…それより俺の心配は、皆さんちゃんとメインを用意して来られましたか?」
「「「「「は―――い!」」」」」
空に掲げられた、購買や食堂の大小様々な紙袋やビニール袋、全員分を確認してうんうんと頷いて。
「それで安心しました。では、よっこらせー」
「「「「「……よっこらせ…?(お母さんは可愛いなー)」」」」」
気合いを入れて、皆さんが取り囲む中央に、どこのファッション雑誌のスタイリストさんですかというレベルの巨大な紙袋を置いた。
「先ずこのウエットティッシュと手ピカジェルで手をきれいにしてくださいね」
「「「「「はあい!」」」」」
「まあ、いいお返事ですこと。はい、ゴミはこの空いた紙袋ですよ。まあ、皆さん偉いんですねぇ、ちゃんとなさって…流石Aチーム!」
テレテレなさりながら、皆さんの用意が整ったところで、たくさんのタッパーを取り出し、包んでいた新聞紙を次々と外した。
お弁当シフトで慣れていらっしゃる、音成さんや合原さん、九さんや無門さんが手伝ってくださった。
たくさん汗をかいて頑張った、たくさんのお顔が見る間に輝いていくのを、とても嬉しく感じて。
「「「「「すげ―――!これがお母さんの手作り弁当!?」」」」」
2013.12.30(tue)22:15筆[ 513/761 ][*prev] [next#]
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