118.ふっくら、まぁるい


 お祭りの雰囲気が、どんどん高まって行く。
 週が明けた途端、体育祭モード加速!
 本番2週間前まで、授業はすべて平常通り行われる。
 決めるべき必要事項は、HRや放課後を使ってチーム毎に話し合われ、実行委員さんたちが調整してくださる。
 部活動は原則として休止、各委員会の活動は体育祭中心に行われ、「喧嘩道」のような黙認行事もお休みとなる。

 個人練習やチーム練習は早朝か昼休み、若しくは放課後、実行委員さんか先生に届け出を提出することで認可される。
 それが2週間前になると、授業は午前中のみになり、午後は各チーム毎の練習や、各競技の入退場など全体練習に費やされる。
 1週間前ともなると、いよいよ予行練習がメインになるそうだ。
 ほんとうにおおきな、学校全体が一丸となる1大イベントなんだなぁ…
 高校で体育祭を楽しめるなんて、想ってもみなかった!

 しかも皆さんが目の色を変えるほど本格的な行事だ、すごくわくわくする。
 自分たちで決めなくちゃならないことが、たくさんあって、練習もたくさん必要で、それはとても大変だ。
 1人1人の責任は重大だけれども、とても楽しい。
 すごーくいい経験になると想う。
 まだ本番は先なのに、勝ち負けいずれにせよ、自分の為になるだろうってわかっていることに向かって行ける、これってすごい。

 毎日わくわくして、忙しくて、充実している。 
 俺としては、年がら年中体育祭モードでもいいぐらいですなぁ。
 なぁんてね、ふふ…
 恐ろしいのはお祭りが終わった直後、1週間のみっちりお勉強期間を経てすぐ、期末テストが始まること…!
 ああ、恐ろしい!!
 チーム優勝だの何だの体育祭云々よりも、何よりも恐ろしいのは期末テストだよー…

 精根尽き果てた状態で、いきなりお勉強モードへ戻らなきゃいけない。
 うまく切り替えられる自信がまったくありません。
 まぁねぇ、先のことを考えても仕方がないからねぇ。
 取り敢えずは体育祭!
 Aチーム優勝!!
 そして、当日のお弁当はどうする?!
 うう〜ん、非常に悩むところだね!
 …期末のことはね…未来の陽大さんがきっと何とかしてくれるでしょう…とほー。

 そうして日々が流れて行く中、着々といろいろなことが決まった。

 Aチームのテーマはそのまま、「5ミリ」で決定…ああ、複雑だ。
 テーマカラーも青色が通り、チームの証として自由に作れるらしいアクセサリーは、青地に「5ミリ」と大きく筆書きされた、オリジナルデザインのバンダナで決まってしまった…ええ、複雑ですとも。
 テーマソングは何と、俺の愛する猫型ロボットのオープニング曲!
 音楽にお詳しい3年の先輩さん方が、格好良くリミックスアレンジしてくださるそうですよ!

 これには業田先生と某先輩共々、歓喜してしまったねぇ!
 地道に1年A組で普及に努めて来た甲斐がありました。
 テーマ曲が決まった瞬間、クエスチョンマークを浮かべていらっしゃった2、3年の先輩方には至急、本とDVDの両方から攻めて頂いている最中です、えっへん。
 …ぶっちゃけ、テーマカラーの青色自体、猫型ロボットさん色だから、すごくマッチしていると言えますな。 
 このテーマソングに合わせた、競技中の応援のかけ声や手振りなどは、これから決めていくようです。

 何と、ひそかに裏得点に繋がっていると噂の、プログラムには組み込まれない自由発表、チーム対抗応援合戦なるものもあるようで。
 踊ったり、組体操的なものや行進など、内容や衣装を自由に決めて、制限時間3分以内を目処に各チームで披露し合うそうです。
 これには絶対的に3大勢力さん始め、人気のある生徒さん方が参加されるのだとか…
 裏の花形種目のようで、チームの表練習とは別に、選抜された方々はひっそり練習を積むらしい。

 うう〜ん、皆さん競技ではコスプレなさったり、いろいろとほんとうに大変そう、お疲れさまですとしか言えないけれども、申し訳ないながらわくわくする。
 一際格好良い皆さんの勇姿を見られるのが、楽しみでならないのです。
 心から応援しますからね!
 実は既に、各チームのアピール合戦が始まっていたりする。 
 校内の至るところに、各チームのテーマやスローガンを現したポスターが貼られ、それは日毎に数を増やしていた。

 これがまた、体育祭へ向けて盛り上がっていく一因を担っていると想う。
 趣向が凝らされた手作りポスターを見る度に、テンションが上がるもの。
 参加するからには、チーム優勝を狙うのはもちろんだけれど。
 体育祭全体が見もの。
 他チームさんの様子を見るだけでも、すっごく楽しいだろうなって想うんだ。
 頑張るぞー!!
 ね!

 頑張らなきゃ!!

 いけない、んですけれども。

 俺は現在、夜が明けたばかりの空の下、恐れながら某先輩と一緒に練習すべく、体育用のジャージをしっかり着込み、待ち合わせ場所にポツンと立っております。
 学校内でも超!多忙を誇る某先輩、日時を指定されたのは先方さまですが、ほんとうにいらっしゃるんですかねぇ…?
 後輩で新人の俺がお待たせするわけには行かない、早く来たものの不安ですよ。
 何せあの御方が普段、どのような生活を送っておられるかなど、俺が存じているわけがございません。

 ほんとうに早起きがお得意なのかどうか真相は闇の中、本人が言っていただけに怪しいものです。
 このまますっぽかされて終わる可能性の高さに、今更驚愕です。
 いいですけれども、別に…ふん、その時はその時で、早朝ピクニックを楽しんで帰りますかな。
 半ばやさぐれて、どのタイミングでピクニックしようかなぁと思案し始めたところ、足音が聞こえた。



 2011-12-06 22:43筆


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