21.すてきな年上の友だち
親子3人並んで川の字。
俺にとって最大級の憧れ寝姿です。
一成さんチでお世話になる2日目、親子じゃないけれども、仁・俺・一成の順に横並びして、ぎゅうぎゅうにくっついて眠ります。
こちらのお宅は特別寮ということもあって、寝室が別に用意されてあり、ベッドも結構な大きさなのだけれど。
今夜もリビングのふかふかのラグの上、おふとんと枕だけ寝室から持って来て、床にごろ寝。
ふっふっふ…男の共同生活はこうでなくっちゃあね!
ダイナミックで野性的に雑魚寝、これに限ります。
一足お先にごろりと横になりながら、想わず「おやすみなさいのうたbyはると」をハミングしてしまいました。
「はぁるる〜ゴキゲンさんだね〜」
「ハイだよな〜良いけどそんなんで寝られるか?」
テーブルの上を片付けたり、窓を閉めたり電気を消したりと、おやすみ前にいろいろ確認してくれていた2人も、苦笑しながら横になった。
本家「ホーム」でもよく3人でこうして寝っ転がってた、お馴染みの体温が近くに存在してくれることに、すごーく安心してますます頬が緩んだ。
「おやすみチェックありがとうね、仁、一成。ふふ〜何があっても就寝だけはの●太君並みに得意なので大丈夫!だってさ、だってさ、あんなに素敵な先輩とお友だちになっちゃったんだもの〜浮かれるのも無理がありませんっての!ファハァックショイ!おっとソーリー、失礼!」
「「いやいや、何故そのタイミングでくしゃみ…」」
なんか勢いで出ちゃったクシャミに、2人は冷えたのかね〜とより一層くっついてくれて、おふとんをたっぷりかけてくれた。
「かたじけない…武士道を束ねる総長副総長にお気を遣って頂けるなんて恐悦至極、誠に有り難き事、心にまで火が灯る想いでござりまする…ふふ〜ぽっかぽかだねぇ…」
「「そのテンション…相当眠いんだねぇ…」」
眠くないもん!
俺だって昔に比べれば、こんな夜中まで起きられる程、夜更かし得意になって来たし?(作者注:まだ22時前です)
直に2人よりも夜更かしのプロになってみせますよーだ!
「明日…」
「「ん〜?」」
まるでちいさな子をあやすように、ぽんぽんと肩なんかを叩いてくれたり、髪を撫でて寝かしつけようとしてくる2人と、もっと声を交わしていたくて。
だってさ、友だちとお泊まり会って、初めてなんだもの。
学校内の敷地にある寮の中だけど、これも立派な外泊だよね?
夜、友だちと遊んだり、学校行事でっていうのはあるけれど。
なかなかない機会だから、お泊まり会と言えばおしゃべりでしょう!
枕投げはね、林間学校や修学旅行、それも大人数じゃない限り、なかなかね。
美山さんは、部屋替えを希望されて、俺はそれを承諾した。
これからは1人部屋になる。
なるけれど、一連の騒動が収まるまでは、暫くこうして武士道の側にいたほうがいいって、2人にも渡久山先輩にも言われた。
俺も正直、1人で寮部屋にいるのはちょっと…心の準備ができていないだけにキツいかも。
甘えてしまって申し訳ないけれど、気持ちの整理が付くまではお世話になろうと想う。
当分続くこの生活。
だいすきな友だちと、ずっとお泊まり会できるなんて、わくわく楽しいことだ。
楽しいことだって、ほんとうに想うし、そう信じてる。
「明日、いろいろ…大変そうだし、ほんとうに気をつけるけどさ…」
「「…うん」」
「楽しみ、だねぇ…ふふ〜走りまくっちゃうぞ〜!」
「「うん」」
陽大なら大丈夫だって。
誰かの声が聞こえた気がした。
きっと、いや、完全に空耳だろう。
「はるる、トンチンカンヨシコにもその下にも連絡してっから〜逃げながらアイツら探して〜くっついててね〜」
「一成、タイムアウト。寝ちゃってる」
「あ〜らら、やっぱ限界超えてましたか〜」
超えて、ないもん。
まだ起きてるよ。
ちゃんと、2人の声、聞こえてるし。
明日は俺、本気で楽しむんだからね。
信じる者は救われる、よね…?
今日も1日、楽しかった。
今日1日のすべてに、ありがとう。
おやすみなさい。
口にできたかどうか曖昧な意識の中、2人がそれは和やかに微笑う気配を感じた。
「おやすみ、はるる」
「おやすみ、はると」
また、明日。
ほんのり点いていたちいさな電気が、リモコンの操作で「ピ!」と消される音と共に、夢の世界へゆっくり足を踏み出した。
2011-08-03 22:58筆[ 359/761 ][*prev] [next#]
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