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み、見られた…!!
いきなり、ミキに見られた…!!
今日見た中でも、1番びっくりしたって顔してるミキ。
どうしよう。
何て言ったら良い?
「あ、あのっ…オレは、その、えっと…!!」
「その声…穂、だよな」
う…!!
ミキの表情が覚めて行く。
「元々此所には俺と穂しか居なかった。誰かが潜んでた気配なんかねーし…つー事はお前、穂だよな…?」
う―――!!
こういう時って、何で上手い言い訳が出てこねーんだろ。
ごまかしようがなくって、オレ大パニック!!
ミキの鋭く細められた瞳は、ウソ言ったら許さない、逃がさないって言ってる。
しょうがない、よな…
阿修羅でも白馬でも、仲良くなったヤツには自然とバレてった。
ミキは十八でできた親友第1号だし、きっとコイツ、ずっとひとりぼっちだった分、口軽くないだろーし。
ミキ、信じるからな!!
「えっと…お、おうっ、オレだ」
「やっぱりそうだよな。最初から違和感あったしな」
おう?!
「最初から、違和感…?!」
どういう意味?!
首を傾げたら、ミキがため息混じりに言った。
「何でそんなカッコしてんのかと想ってた。お前の事だから何か理由あんだろって、聞かなかっただけで。今時んな明らか不自然なカッコのヤツ、居ねーだろ」
えええ!!
「ウッソ!!完璧な変装だっただろ?!あのカッコになんの、結構時間かかって大変なんだぞっ!!」
そう食ってかかったら、ミキが愉しそうに笑った。
「完璧って…お前なぁ。どこが完璧なんだか。俺だけじゃない、誰もが気づいてると想うけど」
「ウソだー!!まさかあのカッコの下がこんなだとは誰も気づかねーだろ!!」
「そりゃそうだろうけど。変装してんのはバレてるだろ」
マジで?!
でも誰も何も言って来なかったじゃん!!
ミキの思い込みなんじゃねーの!!
「つか、何で変装してんだよ」
イタイ所ばっか突いて来るなあ、もうっ!!
けど、ここまでバレたら仕方ない。
オレはぶちぶちと、クォーターってこと、親から変装を義務づけられてること、1人でいる時だけ素でいることを話して、頼むから誰にも言わないでくれって懇願した。
「ふーん…そこらのセフレや親衛隊みてーなツラだけで、ずっと変装か…」
ミキの反応は呆気なかった。
そんで何か、ぶつぶつ言ってる。
「え?!ミキ、何か言った?!」
「いや…確かにこの学園でそのツラはやべーな(誰かに目ぇ付けられたら即お手軽セフレ化ってとこか…)。穂のそのツラ、知ってんのは俺だけか?」
「当たり前じゃん!!ミキしか知らねーに決まってんじゃん!!」
「そうか。じゃ、穂、俺の前でだけ素で居ろよ」
「何だよっ、ミキも阿修羅の連中みてーに独占欲かよ…」
その割には、今までオレの素を知った連中と、ちょっと反応違うんだよなー???
「何か言ったか?」
「別に良いけどさっ!!ミキに言われなくたって、オレは気をつけてるから大丈夫だっ!!」
まーいーや。
取り敢えず、バレたのがミキで良かったってカンジだな!!
それからオレは、ミキに言われるまま、着替えとタオルを取って来てから風呂に入った。
オレが入ってる間に、ミキは自分の部屋へ戻って荷物を取って来たらしい。
どこの部屋かって聞いても、つまらないヤツと同室だから教えられないって言われた。
何だよ!!
いつか絶対、ミキの部屋にも遊びに行ってやるんだからなっ!!
2011-07-03 23:35筆[ 337/761 ][*prev] [next#]
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