59.双子猫のきもち 第3号


 「おもちゃのチャチャチャ」
 「おもちゃのチャチャチャ」
 「「チャチャチャおもちゃのチャっチャっチャっ」」
 生徒会室にレッツゴーしながら、ゆーもみーもゴキゲンさん!
 だって、新しいおもちゃが見つかったんだもの。
 それも特別上等なおもちゃ!
 「「くふふふ」」
 歌って笑っていたら、ひさしもニコニコ、そーすけはうーんって唸ってる。
 
 「そーすけさぁ〜ナニ言われたのか知んないけどぉ〜見たでしょ〜あの天然記念物が物事の上っ面だけしか見てない所ぉ〜!俺らの勘に任せときゃだいじょ〜ぶだってぇ〜!『生徒会1年組』と今日来たばっかの転校生、どっちを信用すんのかって話〜」
 「……生徒会。だけど、みのる…悪い奴、違う。だけど……。」
 そーすけは珍しく優柔不断だ。
 「悪い奴じゃなくても、学園にとっては邪魔」
 「邪魔なヤツだから、みー達と遊ぶんじゃん」
 そう。
 学園を騒がせる宇宙人は、僕達生徒会がちゃあんと接待しなくっちゃあ!

 さっきの食堂での出来事を想い返して、また「「くふふふ」」と笑った。
 黒もじゃ眼鏡星からやって来た宇宙人。
 宇宙人にはひさしが生徒会長に見えたらしい、その時点で大爆笑しかけた。
 後でこーちゃんとりっちゃんに話してあげなくっちゃ!
 違うってひさしが言ったら、お口がぽかーんと開いてたっけ。
 ゆーとみーよりごはんを食べるのがヘタクソなのは、やっぱり宇宙人だから?
 ぽかーんと開いたお口の周り、テーブルの上も、ソースでベタベタになってた。

 ひさしが書記で、そーすけが会計で、ゆーとみーは庶務とフォローって言ったら、またぽかーんとしてたっけ。
 そーすけがイジメられてるって、勝手に勘違いして暴走してた宇宙人。
 同じ生徒会の仲間だから、イジメるワケないって言ったら、また暴走し始めた。
 「じゃあ…親衛隊かっ?!やっぱり親衛隊が原因なんだなっ?!そーすけが独りぼっちで泣いてたのも、ひさしがチャラチャラしてんのも、ユヅキとミヅキが双子なのも…全部親衛隊の所為なんだなっ?!」
 宇宙人のクセに、なんか学園のシステムに詳しいみたいだった。
 折角のオムライスが冷え冷えになるのもお構いなく、宇宙人は熱弁振るってたっけ。


 「白馬といい、十八といい…何処もかしこも腐ってやがる…!!全部全部、親衛隊の所為なんだな…!!くそっ…でももう大丈夫だからなっ!!オレが来たからには皆が楽しく過ごせる学園に変えてみせるからっ!!
 だからもうお前ら、無理しなくて良いんだぞ…?!生徒会だからって特別視されて、ファンとか何とか担ぎ上げられて周りから浮いて…普通の学園生活送れなくなって、ずっと不自由な思いして来たんだろう…?!辛かったよな、寂しかったよな…!!ずっとひとりぼっちで孤独で…そんなのイヤに決まってる!!わかるよ、オレにはちゃんとわかるから!!だからもう…我慢なんかすんなよ!!オレが居るから!!オレだけは本当のお前らをいつも見てるから!!
 オレたちもう、友達だからな!!友達には甘えて良いんだ!!遠慮なんかしないで良いっ、寂しいなら寂しいって本音をぶつけて良いんだからな!!」


 なんのこっちゃー!!パピプペポー!!

 ゆーとみーは笑えて笑えて、我慢するのに必死だった。
 いかにもその通りですーっていう神妙な雰囲気をキープしたまま、俯いて笑いを堪え続けたっけ。

 そうしている内に、ひさしがすっごおく頑張って、名演技を披露したんだ。

 「……俺…そんな風に言ってもらったの、生まれて初めてだ〜…イチジク君の言う通りだよ〜…俺、ずっとずっと寂しくて…この学園で浮いてる事が寂しくて…だから、親衛隊に言われるまま…寂しさを身体の関係で紛らせようとしてた〜…こんなの間違ってるって、どっかでわかってたのに…『抱いて下さい』って言われたら、自分が必要とされてるみたいで嬉しかった…どうしても止められなくて、俺も健康な高校生男子だし、つい欲が勝っちゃって…どうしよ〜こんな不潔で間違ってる俺なんか、イチジク君のトモダチに相応しくないよね〜…?」

 「そんな事ないっ!!九君とか呼ぶなよっ、オレとひさしはもう友達だっ!!間違ってる事に気づいたんなら、もう大丈夫だっ!!これからちゃんと正しく生きれば良いっ!!人間何度だってやり直せるんだぞっ!!今からだって遅くないっ、諦めてんなよっ!!」
 「イチジク君……ミノル君って、呼んで良いの〜…?でも俺、急に変わる自信ないよ……」
 「穂で良いっ!!ゆっくりで良いんだ、大丈夫だ!!ひさしならちゃんと変われる!!オレがついてるじゃんっ!!本当の友達ってそういうもんだっ!!」
 「ミノル……アリガト〜…俺、チョー嬉しぃ〜…」

 最後、ちょっと笑ってたけど。
 ひさしの名俳優ぶりはすごかった。
 ツカミはOK!
 これで宇宙人は、ひさしとそーすけには警戒心ゼロ(もともと持ってなさそうだけど。くふふ。)
 食堂が騒がしくなり過ぎちゃったし、ゆーとみーは笑いを堪えるのに必死で、宇宙人と話す余裕なかったけど。
 きっと悪い印象は持たれてないハズ。
 ゆーとみーは後日また改めて、宇宙人に接触してみまーす!
 果たして宇宙人は、ゆーとみーのクイズに答えられるかな。

 「「お腹空いたねぇ」」
 「もぉ〜それを言うなら俺っしょ〜!チョー演技してマジ疲れたぁ〜!ナニ食おっかなぁ〜」
 「…お腹、空いた。食堂、良かった。」
 宇宙人と一緒にいたかったのかな、そーすけ。
 宇宙人に何か、チップでも埋め込まれちゃったのかな。
 大変大変、こーちゃんに言って取ってもらわないと。
 「つぅかぁ〜はるちゃんのメシが食いたぁい〜」
 「「お母さんのごはん…」」
 「……はると……。」
 途端に、4人でしゅーんっとしちゃった。
 週に1回しかお弁当の日がないなんて、それこそ、とってもとっても寂しい。
 そーすけなんかウルウルしちゃったから、ひさしと一緒によしよし宥めてあげた。

 「多分〜こーちゃん、どーせ生徒会室にニートっしょ〜新歓で煮詰まってたしぃ〜お昼はこーちゃんに奢ってもらお〜ぜぇ〜」
 「「賛成!」」
 「賛成。」
 ひさしの提案に皆で大賛成。
 そうと決まれば生徒会室までダッシュ!
 ごはん食べて、新歓の事いろいろやっつけて、今日の晩ごはんはお母さんと一緒が良いな。
 お母さんに宇宙人と会った事、お話したいな。
 なんて言うかなあ?
 お母さんにいっぱい会う為なら、ゆーとみーはいろいろ頑張っちゃうんだぞー!!
 


 2011-05-01 23:42筆


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