58.チャラチャラ・ツィートby 天谷悠(5)
う〜わあお〜!
生まれて初めて見たぁ〜こんなカッコ悪い生き物!
この平成の世の中で存在し得るんだ…ほとんど絶滅危惧種なんじゃね?!
最早わざと染めたの?!ってぐらい黒くて、もっさもさのぐっちゃぐちゃで梳いたことなんかありません!ワックス?何ですかそれ?スタイリング?何語ですか?っていう雰囲気のツヤのない髪。
ぐるぐるラインが描かれてる、何なの来季A/Wのパリコレで新な流行として発表されたの?勢い付き過ぎて先取りし過ぎちゃったの?ってぇ〜ぐらい、有り得ない分厚さの黒ブチ眼鏡。
風紀のヤツらよりぴち〜っと着こなされた制服は、サイズ合ってなくてあちこち不格好で無様。
ウチの制服採寸、そこまで測るかっつぅ〜ぐらい、細かかったハズなんだけどぉ〜?
何せ、頭の先から足先までカッコ悪い。
ヤッベぇ〜!
ヤッベぇ〜!
何コレ何コレ、もしかして天然記念物?!
国から指定されてる保護対象?!
ヤッベぇ〜天然記念物と会っちゃったよ俺〜やりぃ〜!
後でこっそり写メっちゃおっとぉ〜!
皆に自慢できるかにゃ〜。
りっちゃんがドン引きしてた意味がわかったぁ〜けど、こーちゃんなら一緒に面白がってくれそぉなのになぁ〜。
キーキー声でがなりたてながらオムライスを頬張ってる、下品でがさつでカッコ悪い生き物は、食堂中の見世物状態だった。
そりゃぁ〜珍奇な天然記念物だもんねぇ〜誰だって一目見たいよね!
なんかポ〜っとしてるそーすけを引きずって、転校生が食堂で云々の噂を頼りに、ゆーみーと食堂へ来てみたらこの始末。
チョット面白そぉだけどぉ〜言葉通じるかなぁ〜?!
音成や美山がいるし面倒くせぇ〜のはダリィ、遠目でこっそり観察してたんだけど。
あっちゃ〜他のコ達に気づかれて騒ぎになっちゃったぁ〜!
来てすぐ特別席に行くんだったかなぁ〜。
ま、折角騒がれちゃったから、サービスサービス!
にこにこ笑って手を振ってたら。
「!!みのる…!」
はぁ〜?!
隣にいたそーすけが、リードを引きちぎって急に走り出したワンコみてぇ〜に、ものすごい勢いで天然記念物の方へ走って行っちゃった。
「そーすけ?!お前も昼メシなんだー!!何だよ、さっきぶりー!!」
「…うん。」
メシ食ってる途中のクセに、遠慮なく立ち上がって、キーキー笑ってる天然記念物。
そーすけは嬉しそうに、側でしっぽ振ってる。
俺はゆーみーと顔を見合わせて。
ニヤリンコ。
面白そぉな匂いがするぅ〜う!
これは便乗しなくっちゃぁ〜!!
口に出さなくても、俺とゆーみーの想いは一緒だった。
中等部の生徒会時代から培って来た、「生徒会1年組」の団結力はダテじゃないよぉん。
そーすけがアッチにイッちゃってんのは計算外だけどぉ〜。
先ずは挨拶が肝心〜って、はるちゃんにもこーちゃんにも言われてますからぁ〜俺達、超良いコじゃね?
「こんにちはぁ〜君が噂の転校生〜?ウチのそーすけと早くも知り合っちゃった系だねぇ〜お世話掛けますぅ〜」
「「こんにちは〜」」
出血大サービスで3人合わせてにこにこしたのに。
「お前ら…!!お前らが来てから食堂がうるさくなったっ!!なんかすっげえ目立ってるしっ…お前ら、もしかして生徒会のヤツらか?!これ以上皆のメシの邪魔をしたら許さないんだからなっ!!それと、そーすけをイジメたらオレが許さないぞっ!!」
なんか耳がキーンってなるよぉ〜こーゆー時はど〜したら良いのですか〜はるちゃん、こーちゃん、りっちゃあああん!
「どうなんだよ、答えろよっ!!言っとくけどっ、オレは生徒会なんかに負けないんだからなっ!!そこの1番前にいるお前っ、お前が1番目立ってるけど、お前が生徒会長なのかっ?!生徒の代表なら、そーすけをイジメたりなんかするなよっ!!学園の中で寂しい思いをするヤツが居ないように気配りするのが生徒会長の役目だろっ?!どーせいろいろ特別扱いしてもらってんなら、仕事サボっちゃダメだっ!!コイツ、1人で泣いてたんだからなっ!!知らないなんて言い訳通用しないんだぞ!!知らないって事自体がイジメに加担してるのと同じなんだっ!!オレはそーすけの味方だから!!」
えええぇぇ〜???
俺が。
この俺がせいとかいちょー?!
俺が目立ってるから、せいとかいちょー?!
ヤッベぇ、マジウケるんですけどぉ〜!
この天然記念物、リアルにこーちゃん見たら、気圧されてぶっ倒れるんじゃね?
リアル生徒会長はギンギンギラギラ・オーラがパネェのよん。
そんでもって、イミがワカリマセェン。
そーすけ、1人で泣いてたのぉ?
ちらっとそーすけを見ると、恥ずかしそうにしゅんと項垂れてた。
ど〜せいつものそーすけリラックスタイムだっただけっしょぉ〜?
だって誰もそーすけをイジメるよ〜なヤツ、居ね〜もん。
学園中がそーすけで和んでるのに、そーすけ見守ってんのに、イジメる余地ないでしょぉ。
ちらっと今度はゆーみーを見ると、クスクス笑いを抑えるのに必死だった。
だよねぇ、笑えるよねぇ!
ヤッベぇ、つられて笑いそぉになったけど、ここは堪えろ俺!
だって、これはスゴいよ、上玉だよぉ?
さいこぉの玩具がやって来た。
使える、さいこぉの玩具が。
風紀や武士道に取られない内に、こーちゃんやりっちゃんが興味ない内に、俺らのモノにしちゃいましょ!
そーすけがなんかおかしいけど、天然記念物の貴重さにヤられちゃってるだけっしょ。
後で目ぇ覚まさせてあげるからねぇ〜!
演説ぶちまけて得意になってる俺達の玩具に気づかれない様に、エヘンと軽く咳払いして深呼吸。
ゆーみーと目を合わせて、一瞬ウィンクし合ってから、俺はとっておきの笑顔を作って天然記念物を見つめた。
…つっても、渦巻き眼鏡のお陰でどぉこにお目目があるのか今イチわかんね〜んだけどぉ、そこはご愛嬌!
ひさし君のさいこぉの笑顔でご勘弁下さいまし。
「ゴハンの邪魔してごめんねぇ〜!俺達は確かに生徒会だけど…俺は会長じゃなくて書記担当なんだぁ〜」
今日からヨロシクね、俺らの玩具くん。
君に会えて俺、すっごぉく嬉しいよ〜ん!
俺らが満足するまで、君のことをたあっぷり可愛がって、利用しまくってあげちゃうからね!
でもゴメンネ〜!
きっと、飽きるのはものすごぉく早いのよ、俺ら。
その時、君は正常でいるのかなぁ〜?
大丈夫、どんな風でも最後にはちゃあんと追い出してあげるからねぇ!
それまでどうか精一杯踊り続けて。
ネジが切れるまで。
俺達の、手の平の上で。
2011-04-30 23:40筆[ 313/761 ][*prev] [next#]
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