5.うん、5月と言えば…
時間は待ってくれません。
それはもうつくづく痛感する今日この頃。
この間までゴールデンウィークだったのに、あれよあれよと言う間に試験目前、最後の平常授業日を迎えてしまった。
嗚呼、無情。
週が明けたら恐怖の中間試験ウィーク開始だなんて。
こんなにお天気いいのに…
週末もお天気いいって、聞いたのに…
散歩したり料理したり料理したり料理しまくりたいのに、勉強しなくちゃならないという、哀しい現実。
嗚呼、無情…!!
今週から来週はずっと、お弁当シフトのお休みをもらった。
朝晩は簡単スピード料理で、お昼はレストラン(食堂)で頂いて、完全に試験勉強モードへ突入中。
3大勢力の皆さんやクラスの皆さんに、代わる代わる教えて頂いたり、勉強会に付き合って頂いたりししている。
知り合った皆さん、どなたさまも優秀な御方ばかりで、ほんとうに俺は果報者です。
皆さんだってご自分のお勉強がある中、協力してくださっているのだから、ちゃんと結果を出さなきゃね。
…でも、その期待に応えたいというプレッシャーも、並々ならぬものがあります、ふふふ…
とにかく!
いっぱい頑張って!
ベストを尽くして!
試験が終わったら、お料理しまくるんだ!
あんなのもこんなのもそんなのまで、目いっぱい時間をかけて作りまくるんだ!
そして、お世話になった皆さんにも振る舞って…あ、いっそピクニックとか決行しちゃう?
楽しそうな学校行事も目白押しだし!!
楽しいことの前には、必ず、苦しいことが用意されている。
俺にとってそれは勉強で、でも、学力の無理を承知で十八学園に来ることを選んだのは俺だもの。
やれるだけやってみるんだ。
精一杯やってみて結果が芳しくなかったら、またその時、考えればいい。
後から待ち受けている、いろいろな楽しいことに想いを馳せつつ、立ちふさがる巨大な壁(勉強)に対して、正々堂々正面から突撃して見せようじゃありませんか。
男、前陽大、今日も参る!!
美山さんに「…また変な気合い入ってんじゃ…」とか怪訝なお顔をされつつ、がっつりと朝ごはんを頂き、胸を張って部屋を出た。
扉を閉めて、自然と肩が下がった。
レストラン(食堂)も大好きだけれど、やっぱりお弁当も作りたい…
お弁当シフトがもう懐かしい…
荷物が少ないのが寂しい…
心行くまで時間をかけてお料理できる日まで、あと1週間の辛抱だ、この禁欲生活も!
待っててね、俺のキッチン!!
「前…最近、テンションの上がり下がり、激し過ぎないか…?」
俺に付き合って、一緒に階段で下りてくださりながら、美山さんが遠慮がちに口を開かれた。
「はい!そうなんです!」
堂々と答えたら、ぽかんとされた。
「すみません、美山さん!俺から料理を取り上げ、苦難(勉強)に立ち向かう生活へ入ると、こういった戦闘モードに入ってしまうんです!申し訳ありませんが、あと1週間はご容赦願います」
「……はぁ…そうですか…(戦闘モード…?)」
気合いを入れ、たんたんっとロビーへ下りたところで、ふわぁっと華やかな香りが鼻先をくすぐった。
なんだろう?
花???
いつも季節のあしらいが施されているロビーだけれど、ここまで香ってくるぐらい、たくさんの花を飾っているのだろうか。
どうしたのかなぁと、ロビーへ近付いて、びっくりした。
「前様、美山様、おはようございます。丁度良う御座いました、前様に朝1番のお届け物で御座いますよ。お部屋にご連絡しようと想っていた所です」
え、俺に?!
二上さんの笑顔と、お届けものを見比べて、目が点になった。
2011-02-28 23:06筆[ 260/761 ][*prev] [next#]
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