75.お母さん、長い1日お疲れっした!


 意識が朦朧とする〜…
 とろとろ、とろとろ…
 溶けてしまいそうだ。
 サンボを追いかけ、木の周りをぐるぐる回った、虎たちみたいなバターに。
 あ、明日の朝ごはんはパンケーキなんかいいかも知れないな!
 バターたっぷりの、ふっくら・こんがりパンケーキを何枚も焼いて積み重ねて、メイプルシロップをとろり…あったかいカフェオレで…
 ああ、とろける〜…

 「おいコラ赤狼、はるとに1番風呂譲ってやれ」
 「はあ…?別にいいスけど…なんなんスか」
 「はるる〜お風呂行っといで〜湯船は危ないからシャワーだけにしときなね〜」
 皆の声が遠い。
 仁が美山さんになにか言ってる…?
 けれど、よく聞こえない。
 一成の声が近くでして、言われるままに着替えを手にし、腕を引かれるままに従った。
 それが、精一杯。
 落ちそう〜…
 いやいや、いかんいかん…サッパリしてからだ。
 じゃないと、疲れが取れません。
 夢現で、お風呂場へ入った。
 


 「「じゃ、解散!お疲れ〜」」

 「「なんなんだ…」」
 「……なんだ。」
 「はると、夜に弱ぇから。今日は特にいろいろあったしな」
 「はるるはね〜10時〜11時には就寝、5時〜6時に起床のタイムスケジュールだから〜」
 「揺らがねぇんだよ、絶対に。毎日9時半頃から寝る体勢なワケ。わかったら撤収!」
 「はるるの邪魔するヤツは〜武士道が許さねぇぞ〜!とっとと出やがれ〜外へ〜」
 「あはは!前、爺さんみてーな生活なんだな!超ヘルシー!」
 「……はると…偉い。けど、寂しい。」
 「あんなぼけっとした状態で風呂入れて良いのか?」
 
 「そこは大丈夫〜風呂入って寝るのが絶対的習慣だからね〜」
 「言っとくけど、あの状態でいくら話し掛けても無駄だから」
 「まったく記憶に残ってないんだよね〜」
 「いいか、てめぇら。はるとに近付くんなら、覚えとけ」
 「はるるの生活ペース、乱すヤツは許さな〜い!」
 「生活だけじゃない、アイツを混乱させやがったら、」
 「「武士道が許さない」」
 
 「あ、俺、前のアド聞いてないや。ま、いっか!月曜に聞こうっと」
 「……はると…おやすみなさい。言いたかった…。」
 「「聞けよ、おい」」
 「つか、何で俺まで外に…」
 「ミキティは〜このまま下界へ降りるっしょ?金曜だもんね〜」
 「金曜か…週明けが気がかりだな〜面倒くせぇ」

 
 頭と身体を洗い、湯船に浸かることはせず、熱いシャワーを浴びて出た。
 静まり返った室内、ふらふらと電気のチェックをしながら、水を飲んだ。
 それからふらふらと、自分の部屋へ行き、ベッドへダイビング。
 髪の毛、タオルで半乾きのまんまだ〜…
 でも、もういいや。
 眠くて、眠くて、仕方がない。
 今晩はブログの更新もできないな〜…
 せっかく、いろんなことが起こった1日だったのに。
 いいや、明日!

 また、明日。
 今日も、たのしく過ごせたよ…天国へ向かって呟いて。
 おやすみなさい。



 ――一方、その頃――

 「は、はるくんからメールが来ない…!!はるくん…!!」
 「大丈夫よ、嘉之さん。陽大のことだから、はしゃぎ疲れて早く落ちたんでしょ」
 「で、でも…!!3大勢力と接触した噂もあるし…!!」
 「その『3大勢力』っていう単語が笑えるわぁ」
 「わ、わわ笑い事なんかじゃなくってですね…!本気で心配で…はるく――ん…!!」 

 十八学園理事長、十八嘉之氏が自宅にて、携帯電話を握り締め、おろおろと眠れない夜を過ごしていましたとさ。



 2010-08-23 22:19筆


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