58.チャラチャラ・ツィートby 天谷悠


 はるちゃんに会えた…!!
 しかも、この腐った学園で…!!
 運命…!!
 やっぱり俺とはるちゃんは、結ばれる運命なんだ…!!
 ザマーミロ、秀平(しゅうへい)めぇ〜〜!!

 はるちゃんは俺のものだ!!
 はるちゃんは俺のものだ!!
 はるちゃんは俺のものだ!!
 
 
 『いけません…!!』


 昔と変わらない、はるちゃんの、俺を叱ってくれる声。
 俺のことを心底想っているからこそ、叱ってくれている、愛情たっぷり詰まった声。

 愛情の反対は憎しみ、憎しみの反対は愛情って、勝手に世間で勘違いされてるけどぉ〜違うもんねぇ〜!
 愛情の反対は、無関心。
 憎しみの反対は、無関心。
 愛情も憎しみも、「情」が在ってこそ成り立つ。
 関心がなければ成り立たない。

 『ひーちゃん、食べものの好き嫌いしちゃいけません!』
 『ひーちゃん、お勉強の時間に遊んじゃいけません!』
 『ひーちゃん、お友達をいじめちゃいけません!』

 チビの頃から、はるちゃんは俺のために、叱ってくれた。
 いつも真剣に叱ってくれた。
 叱ってくれるはるちゃんが、俺はだぁいすき!
 だから、散々無茶して、ワガママ言って困らせて、叱られまくって来た。
 どんな俺でも、見捨てないはるちゃん。
 どんな俺でも、叱ってくれるはるちゃん。
 協調性のない俺と、周りを繋ごうとしてくれる、優しい優しいはるちゃん。


 俺は、はるちゃんだけ居てくれたら、それで良いのに。


 そう言ったら、いっそ腹が立つ程、皆に人気者の「お母さん」はるちゃんは、叱らずに、寂しそうな目をしてただ微笑っていたっけ。
 俺には、意味がわからないんだけど。
 わかりたくもないしぃ〜?
 残酷に引き離された、けどまた再会できた。
 とっくに秀平の手中に堕ちただろう、どうやって攫いに行こうか考えていた所へ、ま〜さ〜にぃ〜棚からぼた餅っつか、棚からはるちゃんお手製のホットケーキ登場状態!

 はるちゃんは、俺のものだ。

 会えた。
 見つけた。
 また、叱ってくれた。
 優しい目で、笑ってくれた。
 クラスも寮の部屋も全部わかってる。
 早速、悪い害虫がたっぷりくっ付きまくってたけどぉ〜?
 そんなの、慣れてるし?
 誰にも渡さねぇ〜し?

 武士道のゲームは、武士道が幕を引いた。
 けどぉ、ガチゲームは、これから。
 そして、勝者は最初から決まってる。
 土俵にぐらい、上がらせてやってもいいよぉ〜?
 はるちゃんの教育的指導のお陰で、多少心を改めた俺、この学園でやっとデキた仲間が生徒会メンバー。
 ヤツらも興味あるみたいだけどぉ〜?
 はるちゃんに深く立ち入るまでもない、俺が勝ち取って見せる!!
 こーちゃんにもりっちゃんにも、みーとゆーにもそーすけにも、絶対に渡さないからねぇ〜!!
 
 「はぁ〜あぁ〜折角の再会なのにぃ〜おシゴトなんてマジダルゥ〜美山と同室とか有り得ねぇしぃ〜部屋替えしてぇ〜補佐にしてぇ〜クラスもついでに替えてぇ〜」
 はるちゃんと再会を満喫する間もなく、ゴハン終了と同時に、生徒会室へ強制連行中の俺です。
 やってらんないよねぇ〜、未来の明るい計画に夢中になるのも当たり前。
 なのにぃ〜!! 
 「いつまでも夢見てんじゃねえよ、悠」
 上から振って来た握り拳に、容赦なく頭を殴られた。

 「ってぇ…!イッタァ〜、マジイタイしぃ〜!!こーちゃん、ゲンコツ暴力反対〜…!!」
 「「「悠が呑気過ぎる、自業自得」」」
 「……自業自得。」
 ウッソ、誰か庇う所っしょ〜?!
 コイツら、全員薄ら笑い浮かべてるぅ〜!!
 マジこーゆー時の卑屈な団結力パネェわ〜!!
 そもそもの元凶、こーちゃんを見たら。
 …アラ、意外にマジ顔。


 「親衛隊と新聞報道部が動き出してるぞ」


 「我々の『ゲーム』もごく一部で嗅ぎ付けられている」
 「「夢見てる場合じゃnothing」」
 「……ひさしの。親衛隊、特に危険。」
 「だぁからぁ〜生徒会権力でぇ〜部屋替え・クラス替え・役職付きにぃ〜…」
 「何も起こってない、前陽大の実績もない、現状何もない状況で、勝手な憶測の元、俺らが実権振るえるヤワな学園じゃねえだろうが。世間一般でもそうだろ、起こってからじゃないと話は進まない。くだらねえ社会なんだよ、学園で在れ何で在れ」
 「「「「と言う割に、顔が笑ってるのは何故?」」」」
 「……こーちゃん、悪人、顔。」
 「くだらねえ制限の中で、自由を得るべく仕向けるのが愉しいんだろうが。3年だろうが風紀や不良組が居ようが、学園のトップは変わらねえ。頂点に居るのはこの俺だ」

 ふん。
 確かに、こーちゃんはスゴいけどぉ〜。
 でも、はるちゃんは俺のもの。
 誰がどんな風にはるちゃんを想ったって、それは変わらない。
 変わらない事実、結末だ。


 『俺は……悠のもの、なんかじゃない、よ……』

 
 ああ、なんかまた、いつもの雑音が聞こえるけど。
 聞こえない、何も聞こえない。
 誰が泣いてたって、俺は知らない。



 2010-08-07 23:26筆


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