55.部活はさておき…
さぁて!
大好きで大尊敬している、山本春明料理人さまのお料理を食べることができ、ご本人さまとも会えて、尚かつ、いすれ絶対見学したい!と想っていた厨房見学も果たせて…
会う人、会う人、皆さまに親切にして頂けて、しあわせなお昼休みだった〜!
じゃあ、そろそろお名残惜しくはありますが、素敵なレストランとお別れしましょうね。
お昼のピークでかなり混み始めていることだし。
(それでも席にはまだまだ余裕がある…待たずに悠々と座れる、なんて素晴らしいレストランでしょう!)
くるりと出入り口へ向けて方向転換したら。
「「「「お母さん、まだ行っちゃイヤ」」」」
「武士道」の皆の声に引き止められて、テーブルを振り返ったら、皆さま揃ってまだお召し上がり途中だった。
もうお皿の上は8割方なくなってはいたけれど。
おっとっと!
俺ったら、本気出せば食べるの早いし、浮かれていたものだからついつい…
そもそも、俺1人でレストランを出ても、どっちへ行ったら寮に戻れるのかわからないんでした!
美山さんもあと1割ほど、お食事が残っていらっしゃる。
危ない、危ない!
皆さまのいらっしゃるテーブルへ戻り、主に「武士道」の皆の世話を焼きながら、食事が終わるのを待たせて頂くことにした。
「あ〜あ…おら、たっつぁん、案の定混んでるじゃねぇか!」
「おっかしいなァ…新入生以外は帰省から戻って来とらん筈だろ」
「週末の帰省ラッシュに巻き込まれたくねぇんだろ、そりゃ…昼のどピーク中だしな…」
「ははは!厄介だなァ」
「笑いごっちゃねぇっつの…」
「十左近(じゅうさこん)は腹が減ると機嫌悪ぃの、永遠に直らんのだろうなァ!」
「…うっせーよ…朝からクソガキ共の相手してみろ、誰だってこうなるわ…あーでも、混んでるのに静かっつーこた、アイツらは居ねぇんだよな?ラッキー!」
ふいに、出入り口が明るくなったと想ったら。
んん?
バスケ部?
それとも、バレー部?
と想わせるような、かどなしさんのように背が高く、ガタイが良い、揃って短髪で男っぽい雰囲気の御2方が、ワイワイと入っていらっしゃった。
んんん…?!
御1方は、ワイシャツ、ブレザーまでは規定通りだけど、下はゆるゆるジャージ?!
それに、素足サンダル…!!
御1方は、きちんと規定通りだけれど、シャツのボタンは2つ開けられ、ネクタイはゆるっと引っ掛けられている状態…プルッシャンブルーの色、ということは3年生さんだろうか。
どちらにしろ、年上に見える。
たった数年の差で、これ程も違うものなんだなぁ…
新入生の俺たちとは違った、大人へ向かい始めた容姿や体躯、一切物怖じなさらず、レストランへ仲良く入って来られた雰囲気…
いいな、いいな!
俺もあんなふうに、成長したいな!
いや、成長してみせます!(特に身長!)
まじまじと見つめていたら、ジャージ先輩さまと目が合ってしまった。
わ…!
失礼なぐらい見てしまっていた?!
どうしよう、先輩相手に!!
わわっと焦っていたら、先輩さまが一言。
「あ。」
「あ?」
「十左近、右向け、右!」
「あぁ?」
「ほら、やっぱり居たなァ、皆さんお揃いで!」
「げっ…!生徒会に風紀に…『武士道』?!…1年A組も居るじゃねぇか…!!」
「なんだァ、お前等。仲良く親睦会議かィ?」
あらら…?
皆さま、先輩方とお知り合いなのかな。
「「「「「所古(いこま)先輩、十左近先輩、コンニチハ」」」」」
見事に総ハモり、にっこりにこにこと笑顔になる皆さま。
先輩方もにっこりにこにこ。
俺もつられて、首を傾げつつ、にこにこしてみた。
2010-08-04 22:25筆[ 107/761 ][*prev] [next#]
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