続、日常



※日常の続編





「いいものみーっけ。」




いいものとは十中八九俺のことなのだろう。
ニヤリ、と効果音のつきそうな笑みを浮かべて明らかに俺の方に向かって走ってくる臨也さんから反射的に目をそらす。だって嫌な予感しかしない。



「おっと、駄目じゃない紀田くんさぁ、常に状況を把握してないと死ぬよー?」


聞き捨てならないセリフに、はっとして顔をそちらに向けて思わず絶句。

「―っ、うわっ?!」


何か、黒い物体がこちらに向かって飛んできている。

マ ジ で か !!!?


咄嗟にしゃがんで飛んできた物体をよける。
まさに間一髪。

俺の代わり(正確には臨也さんの代わりだが、)に犠牲になったのは後ろにいたチンピラだった。よく見ればコンビニのゴミ箱。サッと、顔から血の気がひくのを感じた。















よし、ゆっくり整理整頓してみようか、俺。
まず何故俺はこの人と一緒に走っているのか。


「紀田くんやるじゃない、しずちゃんの攻撃避けるなんてさぁ。すごいすごーい!」

「あんたがこっちに来るから巻き込まれたんだろ!!」

「イーザーヤァァアア!!池袋にっ、来るんじゃねえぇえ!!」

「あはっ、しずちゃんてばあいかわらずなんだから。困っちゃうよね〜、」


後ろから般若のような顔の平和島静雄が追いかけてきているというのに、何故こんなにも余裕があるのか。本当にこの人は謎だ。

まあしかし、よく考えてみれば臨也さんにさえ近寄らなければ、平和島静雄も俺に害を及ぼすようなことはない。さっきのアレでチンピラは未だに路地のほうで伸びているだろうし、気がついたとしても追ってくるなんて馬鹿な真似はしないだろう。

ということは、まさに逃げるが勝ち!!


そうと決まれば先手必勝。すかさず臨也さんと違う方向へ走り出そうとした、まさにその瞬間―。



ガシッ



「は、?ちょ、臨也さん?」

「なぁに紀田くん?」

「なぁにって、こっちが聞きたいんすけどっ。何肩掴んでんすか!」

「え、だってもちろん紀田くんも一緒に来るでしょ?」

「は?いや、いやいや…、話の内容が見えてこないんすけど」

「いいからいいから、行くよー」

「ちょ、臨也さ「くそがぁあ!!ちょろちょろすんじゃねえ!!」ひぃっ…!!」


臨也さんに本気で抵抗する前に、俺の横に標識がぶっ刺さった。
確実にここにいたら、死にますよね…!!!


1.ここで臨也さんを振り切って平和島静雄に殺されるか
2.とりあえず臨也さんに着いてってあとで地獄を見るか


2つしか選択肢がないところが悲しいな、俺のライフカード。


とりあえず平和島静雄から逃げるために走りながら悶々と考える俺。
そんな俺を見透かしたのか何なのか、にやりと笑った臨也さんが一言、


「ここで死ぬよりさ、俺に着いて来た方が賢い選択だよね?紀田正臣くん?」


いつの間にか繋がれた手。そこから臨也さんの体温が伝わって…、ああもう畜生!!不覚にもドキドキしてしまったじゃないか!!赤くなる顔を誤魔化しつつ耳元で囁かれた臨也さんの言葉にすぐさま傾いてしまった自分の意思の弱さに、泣きたくなった。




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これは…。

続くんだろうか、どうなんだろうかw
続編が見たいと言って下さった方がいらっしゃったのでちょっと書いてみましたがどうでしょうw期待に沿えていれば幸いです^^

4/5 高橋




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