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あの後、

無理矢理俺たちは帰宅した。


まさに言葉通り無理やり、だ。



あの手この手で引きとめてくるナンバー1ホストを、交わしまくって店から出た。危惧していた指名料を取られることはなく、それでも俺達は逃げるように店を後にした。


異変に気付いたのは家に帰ってから。




「…ない」



家のカギがない。

慌ててカバンやポケット、隅から隅まで探したが、ない。
考えられるのは今まさに逃げるように出てきた店。

「マジかよ…」

おいおい、あれだけ必死こいて帰ってきたのにこれじゃあただの間抜けじゃないか。

思わずその場にしゃがみ込み俺はこの後どうすべきかをぼんやり考えた。今からあの店に戻る勇気はサラサラない。となると今日は友達に泊めてもらうしかない。

徐に取り出した携帯から友達の名前を探し通話ボタンを押した。


『もしもし?紀田?どした』

「あのさー、さっきのホストクラブに俺家のカギ忘れたっぽくて。今日泊めて…―」


そこまで言いかけて本日何度目かの絶句。


『?紀田ー?』

耳元から聞こえてくる友達の声も最早頭に入ってこない。
入ってくるのは視界に映る甘いマスクの男。



「やっほーさっきぶりだね♪」



こちらに歩いてくる折原臨也を視界に捕らえながら、この後どうしようかとか何でアイツ俺んち知ってんだよとか、そんなこともその手にキラリと光るカギを見た瞬間に吹き飛んだ。


叫ばなかっただけ偉いと思う。











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