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「あのー…」

「ん?どうしたの正臣くん。あ、お酒追加しようか?」

「いやいやいや、そうじゃなくて…ですね」



何だこのカオスな状況は。



やたらとイケメンな彼が来た途端に一緒に来た友達が一斉に顔色を変えた、かと思いきや俺をすごい形相で見てきた。何事かと顔をひきつらせた俺をトイレまで引っ張ってきて友達が告げた言葉に俺は愕然とした。


『アレがここのナンバー1』


それだけなら、ナンバー1が拝めてよかったねと話は丸く収まるのだが、何でもこの店はナンバー1・2が人気すぎて指名が殺到するため、彼らを指名するときは指名料というものが発生するらしいのだそうだ。しかも結構な額らしい。ようするに金の問題。
所詮大学生の俺達にはそこまでの金が無い。


「だから、いくらナンバー1が見たいからってそんな軽い気持ちで指名したら駄目なんだって!」

「なるほど・・・って、いやいやいやいや俺指名してないよ!」


そう、指名なんてしてない。

では何で彼は俺の隣に座ってる?答えはわからない。




「な、もう帰ろうぜ。こっちは別に指名してないんだし、金は何とかなるだろ―」

「あ、いた。何してんのこんなとこで。」

「ひっ、出た!」


噂をすればなんとやら・・・
顔を出したのは紛れもない折原臨也で。店のナンバー1が何してんだこんなとこで。


「正臣くんがなかなか戻ってこないから襲われてないか心配になっちゃって。しかし出たって・・・ひどいなぁ。それ言われるの今日2回目だし地味に傷つくんだけど。」



そう言いながらも顔はにこやかだ。これが俗にいう営業スマイルか?ていうか最後の情報いらない。

っつーか襲われるってなに。何か野獣でも飼ってんのこの店。















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