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「臨也さんが今月もナンバー1で、静雄さんが2と…さすがだなー。」


店に並んでいる写真を眺めながら酷く感心したような声を上げるのは、半年ほど前に入ってきたばかりの新人、竜ヶ峰帝人。
彼が把握してる限りでの順位変動といえば、1と2が入れ替わるくらいだ。



ホストクラブ『DRRR』


ここで不動の人気を誇る平和島静雄と折原臨也。
大抵のホストは源氏名というものを使うのだが、彼らはめんどくさがって使わない。


まあ俺も帝って書いてみかどなんだけど。
ってどうでもいいね俺の源氏名なんて…



「いつまで写真眺めてんの〜、みかど君?」

「うわっ、出た」

「出たってひどいなぁ」


噂をすればなんとやら、仕事着に着替えた臨也さんが営業スマイルで俺の横に立つ。すらっとした体型に適度に着崩された赤のシャツ、首元にはシンプルなネックレス。


…俺が惨めになるから横に立たないでほしい。




「ていうか、臨也さん準備しなくていいんですか?予約入ってるんでしょどうせ。」

「うんまーね」


うわっ何て嫌味なヤツ。


「そう睨むなって、また今度なんか奢ってやるよ。」


そう言って笑いながら店の奥に消えていく臨也さん。みんなあの人に言葉巧みに乗せられて、最後は胡散臭い微笑で堕ちる。
真面目に誠実に接客している俺だって客がいないわけではないけれど、やはり彼の比ではない。


「・・・女の人ってわからない。」


真面目よりあのぐらいちゃらちゃらした方が俺も人気が出るのだろうか。
それはそれで何か違うような…

そんなしょーもないことを考えつつ店のドアを開ける。



さ、今日も開店の時間だ。








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