お年玉小説〜赤ずきんちゃんパロ〜





むかーしむかし、あるところに、赤ずきんちゃんというそれはそれはとても可愛い男の子がいました。





「・・・なんだよ、このナレーションおかしくね?可愛い男の子とか全然嬉しくないわっ!そもそも赤ずきんちゃんって女の子じゃん何で俺が赤ずきんちゃん役なわけ、ここは杏里が適任だろーっ!」

「・・・はいカットー、全く往生際悪いよ正臣、くじ引きで決まったんだからしょうがないじゃない。諦めてさっさとやるよ。」

「帝人!お前は杏里ちゃんの赤ずきんちゃん姿がみたくないのか?!」

「そりゃ見たいけど・・・、でも(いろんな意味で)正臣の赤ずきんちゃん姿もみたいよ?だからさっさとやろうね?(ニッコリ)」

「・・・(笑顔が黒い)」








テイク2




むかーしむかし、あるところに、赤ずきんちゃんというそれはそれはとても可愛い男の子がいました。



「ああ今日もいい天気だわー(棒読み)」


赤ずきんちゃんは今日も元気にお外で遊んでいました。すると、家の中からお母さんが―、


「赤ずきん、お婆さんの家までおつかいに行ってきてくれるか?」

「あ、うん―(って、お母さん役まさかの門田さんーっ!?)」

「どーした?顔色わりいぞ?」

「あ、いや何でもないっす。おつかい行ってきます・・・」

「おう頼むぞ。あ、狼にはくれぐれも注意するんだぞ?いいな?」

「はーい・・・」



そんなわけで、赤ずきんちゃんこと正臣くんはお婆さんの家までおつかいに行くことになりました。

「(正臣くんって言っちゃった時点で、もう赤ずきんちゃんじゃないような・・・)」



ほら、正臣。ぐずぐずしてないでさっさと森の奥に進みなさい。話進まないでしょ。


「はいはい・・・(自分はナレーションだからって帝人め・・・)」



森の奥に歩いて行くと途中で綺麗なお花畑を見つけました。


「うわぁ、セットとはいえ、ほんと綺麗だな。すげー」


こら、セットとか言わない


「あ・・・、わぁー綺麗なお花畑。お婆さんに摘んでいってあげましょー・・・」


そう言って正臣くんがお花を摘み始めた時。ちょうど猟師さんが通りかかりました。



「おう、正臣。何してんだ」

「お花摘んでます、って静雄さん!?」

「あ?何驚いてんだ?」

「あ、いや別に・・・(静雄さんって意外と協調性あるんだな)」


猟師さんは持っていた猟銃に弾を込めながら正臣君に話しかけました。


「(え、弾?弾って本物?え、そんなもん込めちゃってどこで使う気?!)」

「いいか、正臣。忠告だ。話の流れ上、お前は恐らく狼に出くわす。」

「は、はぁ…(お話の流れとか言っちゃって大丈夫なの…?)」

「この劇の配役が決まった瞬間アイツをぶっ殺してやろうと思ってたんだがな…まあ、何にせよ十分気をつけるんだぞ、いいな?」

「は、はい。気をつけます…」

「じゃあな」



そう言って目をギラギラさせながら猟師さんは去っていきました。


「様になってんなー・・・猟師役。」


はい、じゃあ、お花も摘み終わった所で正臣くん、いよいよお婆さんの家に向かいましょうか。


「何か、お話どんどん雑になっていってるような・・・」


いいんですいいんです。読者が楽しみにしてるのはクライマックスの見せ場だから。はい、さっさと歩く。


「・・・へいへい」


こうして半ば強引に誘導されつつどんどん森の奥に進んでいくとようやくお婆さんの家が見えてきました。

「ふう、やっと着いた。」


正臣くんはコンコンとノックして中に入ります。部屋を見渡すと、どうやらお婆さんは奥のベッドで眠っているようでした。


「(あの黒いフード、絶対臨也さんじゃん…帰りたいすごく)・・・寝てんなら、荷物だけおいて帰っちゃダメなんすかー?」


ダメだよ正臣。ちゃんと物語通りやんないと。ほら、さっさとお婆さんに近寄って。



「(何か、この後の展開が読めてきた…)いざやさ、げほげほ…お婆さん、正臣です。おつかいに来ました。」


そう言って近寄ってみると、お婆さんはクツクツと厭らしい笑みを浮かべて話始めました。


「・・・だから、ナレーションおかしくね?」


「そう?的を獲たいいナレーションだと思うけど?まあとにかくやっと来たね、もう俺ほんとに寝そうだったんだけど。はあ、まあいいや。じゃクライマックスと行こうか。」

「・・・その声、やっぱり臨也さ・・・って、うわっ!」



いきなり腕を引っ張られて正臣くんはベッドに引きずり込まれてしまいました。恐る恐る原因を見上げればそこには・・・



「(帝人のやつ!楽しんでやがるな!!)…何で狼役なんか引き受けたんすか!イザヤさん!」

「えー、何でってそりゃ正臣君が赤ずきん役だって言うからさ。こんなもっともな理由つけて正臣君を食べられちゃうなんて新年早々ラッキーだよね!しかも律儀に赤いスカートまで穿いちゃって。いやーいつも以上に可愛いよ正臣くん。じゃ、遠慮なくいただきます♪」

「え、ちょ、やっぱこういう流れなのっ!?ひぃ―っ」



あらあら大変!狼さんが正臣くんを食べようとしています!

「―っ、帝人!テメェ!!暢気にナレーションやってる場合か!カットだろこんなん―!って、ちょっと!アンタどこ触ってんすかっ!」

「どこって太もも?」

「っ小首かしげんな!説明せんでいい!手ぇ離せ!…帝人!何とかしろよ!」


うーん、でも原作は確か赤ずきんちゃんは一度狼に食べられちゃうんだよね〜。だから流れ的には、問題ないんだけどなぁ。


「この状況見て言ってんの!?大丈夫じゃねーだろっ!放送事故だろ!問題ありすぎだろーっ!…っん、ぁっ!」

「とか何とか言っちゃって、やらしー顔。ほら濡れてきたんじゃないの?」

「あっぁ、何、やだって!…んんっ―は、ぁっ」

「ふふっ、スカートの下はどーなってるのかなぁ?」

「ぁっ、やだ!捲らな、でっ!あっゃあっ!」

「何だー、ボクサーか…。ここ女物の下着なら完璧だったのにな〜。帝人君、やるならもっと徹底的にやんないと」


すいません、次から気をつけます。


「っお前ら馬鹿だろ!ってか変態―、ぁああっさわんなっ!」

「残念綺麗な足だねー、舐めちゃいたい。」

「ぁんっやめっ!だ、誰かー!」


絶体絶命の窮地に立たされた正臣君。
このまま狼にペロリとおいしくいただかれちゃうんでしょうか―?!




ズガンッ!!!!



「「・・・へ?」」



おや?どうしたことでしょう。狼のすぐ横の壁から煙が上がっています。



「…おい、俺ぁちゃんといったよなぁ?狼には気をつけろって。」

「―は、あ、静雄さ…?…じゃなくて、猟師さん!?」

「…わー、ナイスタイミングだねシズちゃん。」


音のした方を見れば猟師さんが猟銃を構えて鬼のような形相で狼を睨んでいるではありませんか!これでとりあえず助かったね!赤ずきんちゃん!


「ってめ!帝人、後で覚えて―」


ズガンズガンッ―!!!


「ひぃっ!!?」

「ッチ、外したか」

「もう、ほんとシズちゃんてばせっかちなんだから。いいとこ邪魔してくれちゃって。―いい加減死んでよ?」

「てめえに俺が殺れるとでも思ってんのか?あぁ?」


猟師さんから放たれた銃弾をさらりとかわした狼さんは懐からナイフを取りだしました。それを見た猟師さんは目をギラリと輝かせて再び銃を構えました―




「…っストップストーップ!これ話変わってんじゃん!ダメでしょ新年早々殺し合いとか!お正月くらい、もっとこう、仲、よく…ね?」


これはまさかの展開です。何と赤ずきんちゃんが狼と猟師さんの間に割って入り必死に止めに入りました。さすが赤ずきんちゃん心優しいですね。


「「…」」


どうやら赤ずきんちゃんのお願いが届いたようで、彼らは動きを止めました―おや?何やら狼さんが猟師さんの耳元で話しかけています。小声過ぎて全然聞こえません。



「…ねえ、シズちゃん。ここは一時休戦ってことにしない?」

「…ああ?」

「だって見てよ、あの正臣君。地味にスカート捲れちゃってるし目は潤んでるし顔赤いし。ここは休戦して2人でお召し上がりしちゃおうよ。」

「…」

「悪い話では、ないでしょ?ね?」




どうやら話し合いに決着が着いたようです。いったい話し合いの結果どうなったのでしょうか。



「…正臣、悪ぃ」

「というわけで、いただきます♪」

「え、え―?ちょ、ちょっとー!?ひ―っ、ぁあん!」



おやおや、まさかの展開です!
ベットに倒されてしまった赤ずきんちゃんに覆いかぶさる猟師さんと狼さん。
果たして赤ずきんちゃんの運命やいかに―!







『…はあー、結局3Pかy……ごほん、新年早々お見苦しいところをお見せしてすみません。昨年は大変お世話になりました!今年もどうぞ“雨降り”をよろしくお願いいたします!それでは!(僕も後で混ぜてもらおう)』





おしまい。







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