保健室は危険がいっぱい



今現在、俺の思考回路は極限状況に陥っている。



「…あのー、折原くん?」

「どうしたのセンセー」

「いや、どうしたもこうしたもね…」



何故俺は彼の膝の上に座っているのか。何故彼は笑顔で俺の腰を固定しているのか。

転勤してきて早3日。
もうどうしていいのかわからない。



初出勤の日に竜ヶ峰先生にこの学園についていろいろと教えてもらったのだが、その時に「折原臨也と平和島静雄には注意してね」と言われていた。まあ所謂問題児ってやつらしい。しかし俺は別に生徒を教えるというような立場ではない。よってそこまで生徒に関わることもないだろう、という甘い考えが今のような状況を作り出しているだけに誰も責められないところが悲しい。


保健室は俺のテリトリーのはずだ。何故なら俺が保健の先生だから。
なのに今のこの状況は何だ?
職員会議が終わって保健室に帰ってきてみれば、作業用の机に短ランを来た黒髪の学生が悠々とそこに座っているではないか。しかも俺が入ってきたのに気付くとヤツは笑顔で「おかえり」という。



おかえりってお前。










そして冒頭に戻るのである。




「先生可愛いよねー、俺先生のこと大好き」

「あー、うんありがとう。」


普通は教師にとって生徒から大好きと言われたら嬉しいものだけど、そこまで歳の変わらない男子生徒に言われても正直微妙である。しかも膝に乗られながらというオプションつき。



「えーっと、折原君、だよね?」

「やだなぁ、臨也って呼んでよ。俺と先生の仲じゃない。」




いや、たった数分前に会ったばかりじゃないですか。



「何、俺のこと誰かに聞いた?」

「あー、まあ。」


問題児だということは伏せて、曖昧に返事をすればふーんと何かを考えるように小首を傾げる折原臨也。いや可愛いけどさ、如いて言うならば女子生徒にされたかった、とか、ね。ははは


「じゃあ話は早いよね」

「は?何が?」

「せんせー無防備すぎて、ますます俺好み」




ペロリと舌なめずりをした目の前の彼はニヤリと笑って腰に回していた手を首に回してきた。


あれ、何この状況…もしかしなくとも絶体絶命?






―END―



タイトルが何か古い




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