レストラン




※意味がわかると怖い話より




この前、正臣がバイトしているレストランに1人で晩御飯食べに行った時の話。

レストランでバイトしてるなんて知らなかったからまあ、興味本位で。ついでに割引券もらったし、ちょうどいいかなーなんて思ってさ。1人暮らししてると結構毎日食事作ったりするのも大変なんだよね。だからありがたく使わせてもらうことにしたんだ。


「いらっしゃいませ」

内装は割りとお洒落な感じで、出てきたウェイトレスさんがすごく可愛かった。まあ園原さんには負けちゃうかな・・・って何言ってんだ俺。
案内されたテーブル席に着く。ウェイトレスさんは何故か僕の前と、向かいの席にメニューを置いていった。

あれ、何で2つもメニュー置いていったんだろう?

少し疑問に思いながらも、お腹が減っていたのでとりあえず何か頼もうとメニューを開いたときだった。



「みーかどっ!」

「ひぃっ」


耳元で声がして思わず変な声が。振り返ればしてやったりな顔をした正臣が立っていた。


「お、脅かさないでよ!」

「ははっ、いやーあんまり真剣にメニュー見てるから面白くって。」

「もう…」



改めて正臣を見れば、上下黒に腰からも黒いエプロンをしており、かなり様になっていた。本人にこんなこと言うと調子に乗るので絶対言わないけど。


「注文決まった?」

「んー、まだ考え中」

「そ、じゃあ水とおしぼりおいておくな。」

「ありが、と・・・?」



そう言って正臣は俺の前と向かいに水とおしぼりをおいた。さっきから何なんだ?

少し気味が悪くなりながらもとりあえず何にするか悩んでいると、
「お連れさんは決まってんの?」

なんて聞いてくる。彼は何をいってるのか。思わず1人だよ?と反論する。


すると不思議そうに小首を傾げる正臣。あー、ヘタなギャグなんて言わずに、こういうのをさりげなく女性の前とかですればいいのに。そんなことを思っていると正臣が口を開いた。


「あれ?おっかしーな、お前店に入ってきた時女連れじゃなかったか?」

「何言ってんのさ、僕ずっと1人だったんだけど」


だいたい僕がそんな女連れで来るわけないじゃないか。そう言ってやると若干可哀想な目で見られたが、すぐに怪訝な顔をする正臣。
彼曰く、「髪が長く、白いワンピースの女と入ってくるのをみた」と。



「今はいないからてっきりお手洗いにでも行ったのかと思ってたんだけど・・・」



もちろん僕には心当たりがない。それに今は冬なのに白いワンピースって・・・。もちろん知らない、と否定すると今度は少し気味悪いものを見るような目で見られた。
え、なんだよ。も、もしかして何か憑いてる、とか・・・?いやでもまさか・・・。・・・そう言われれば、気のせいかな、なんだか寒気が・・・うわー怖くなってきたどうしよう!




ついには、ううっ、と頭を抱える僕。







・・・・と、不意に正臣が吹き出した。


「っくく、帝人簡単に引っ掛かりすぎだってー!」


急にそう言われて全く頭がついていかない。ぽかんとする僕に彼は「ごめんごめん」と謝りだした。


「いや、今日お客さんも少なくて暇だったところにちょうど帝人が来たもんだからちょっと脅かしてやろうって、水持ってく時に急に思い付いてさ。ほら、よくあんだろ、誰もいない席に水おいてく店員の怪談。」


ああ、なんだ。正臣が僕をからかっただけか・・・。少しほっとしつつたちの悪い冗談だと反論する。

「な、なんだよっ。ほんとびっくりしたじゃないか!やめてよもう!」

「いやほんと悪かったって!お詫びにコーヒーオマケしとくから許して」



じゃあメニュー決まったら呼んで。そう言い残して正臣は厨房に消えていく。

まあ正臣らしいといえばらしい冗談だが、ホラーが苦手な僕には酷な冗談だよ全く。




ま、食後のコーヒーが美味しかったから許してあげようかな。








考察と答え




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