心霊写真
※意味がわかると怖い話より
「なあ、久しぶりに心霊写真撮りにいかね?」
「ああ、いいっすね」
仕事の帰りにトムさんと2人で話してたら、久しぶりに心霊写真を撮りに行こうという話しになった。都心部から結構離れた山道に惨殺事件があってからも未だに取り壊されず残されてた民家があるのだ。トムさんが車を出してくれるらしいのでそこまで時間もかからないだろう。
ドライブ感覚で車を走らせ車内では他愛ない話で盛り上がった。話しているときに思ったがやっぱりトムさんは俺の扱いがうまい。普通の人間と喋ると8割キレそうになっちまうからなぁ。…まあこんなこと自分で言うのも何なんだが。
「見えてきたぞ。」
「あ、あれっすか。つかほんとに放置されてんすね。」
本当に以前あそこに人が住んでいたのかと疑いたくなるような廃墟同然の建物。あそこが今回心霊写真を撮る現場だ。近くに車を止め、懐中電灯とカメラを持って建物に入る。中は閑散としておりかなり埃っぽい。
「んじゃ、まずここで1枚」
トムさんを先頭に玄関で写真を撮り、続いて、居間・風呂場・トイレ・キッチン・父親の部屋、階段から2階へ上がり子供部屋・ベランダ・母親の部屋、一通り撮り終わり最後に家をバックに1人ずつ撮ってみた。
「よし、んじゃそろそろ帰っか」
「うす。」
近くにあった自販機でコーヒーを買ってそのままその日は帰ることにした。家まで送ってもらって、ほんとトムさんはいい人だ。
で、あれから数日。
写真が出来上がったらしく仕事帰りにトムさんに見せてもらった。
「あ?何すかこれ、」
「何すかって、見ての通りだよ。」
全部写真を見終わり俺は眉を寄せそう呟いた。そう、写真には何も写っていなかったのだ。もちろん俺たちは写っている。霊的なものが何も写ってなかったのだ。
「行き損だったなー」
「もう成仏しちゃったとか、ですかね?」
「そうかもなぁ。じゃあもうあそこ行っても心霊写真撮れないってことか。ほんと無駄だったな」
そう言ってトムさんは期待はずれとばかりに詰まらなさそうな顔をしてタバコに火をつけた。その時ふと、あそこに行く途中にもう一軒民家があったのを思い出した。
「そういえば、あそこに行く途中に結構周りから孤立してる民家、ありましたよ。そこ行ってみます?」
「おお!マジで?そこも廃墟?」
「んな訳ないじゃないっすか。普通に人住んでたと思いますよ。あ、暇だし今から行きます?」
「そうだな。んじゃあ車とってくるわ。静雄なんか適当に準備しててくんね?」
「準備なんかしなくても大丈夫っすよ。」
「まあ、お前の場合そうか。んじゃあとでな。」
「ういーす」
そう言いながら去っていくトムさんの後姿を見つつ俺もタバコに火をつけた。かなり久しぶりだからな、何かワクワクする。今から楽しみだ。
―END―
考察と答え