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その後、部屋においてあったオセロを見つけた静雄が勝負しようと言い出し、何故かベットの上でオセロ対決。再びゲーム魂に火がついた俺たちは結局5回も対決をして、結果は俺の惨敗。悔しすぎて項垂れる俺を見て満足げな静雄。くっそー、手加減しろよ。


「きっと今日は本調子じゃねーんだ。あーあ、変な体制でやったから肩凝ったー。」


冗談半分で拗ねたようにそう言い肩を回す。そんな俺に苦笑いしてオセロを片付け始めた静雄に、何だかこども扱いされているような気がしてかなりに恥ずかしくなった。全く、たかだかオセロで俺も何を熱くなっているんだろうか。


「あ、そうだ。肩揉んでやろうか?」


「え?」



ふいにそういった静雄。別にそんなつもりで言ったのではないが、どうやら静雄は肩揉みに相当自信があるようで、俺よりもやる気満々。まあその好意を受けとる理由もないし、せっかくなので揉んでもらうことにしたのだが…


こいつが馬鹿力だということをすっかり忘れていた。



ぎゅううう、と音がしそうなぐらい静雄の親指がめり込む。尋常じゃない痛みに思わず奇声が上がる。



「うわぁああっ、ちょっ、しずおっ!」

「ん?どうした」


どうしたじゃねえ!!
もはやマッサージじゃねえから!肩ぶっ壊れる!!
そんな俺の反応をスルーして再び指を動かす彼。
それと同時に奇声を発する俺。

あああ何か明日あたり隣人から苦情が来そうだと思いながら、もうめき声は止まらない。


「っどうしたじゃなっ、い!あぁっ!そこ、ダメっ!」

「こんぐらいで何言ってやがる、まだまだこれからだろ?」

「ひっ、も、無理だからぁ!ひゃっ」

「こら、逃げんな。」


痛すぎて思わずベットから逃げ出そうとする俺をがっしり掴んで引きずり戻す静雄。え、これ何ていうプレイ?つーかお前はドSか!
情けないが涙が滲む。
半端ない痛みが肩を襲う。
ああ俺、明日は手が上に上がらないかも…。


「あっ、あっほんとダメっ!!そんなに指っ、動かさないでっ」

「あ?動かさねえとほぐれねえだろうが」

「もう、やっ、ああぁっ」





思わず泣き出しそうになった次の瞬間、いきなり勢いよくベランダの戸があいた。


俺も静雄も何事かとそちらを見る。




そこには見覚えのある制服と黒髪の学生が2人。手には何やら双眼鏡などが握られている。
何が起こったのか、全く頭がついていかない俺の口から出たのは


「お前ら、何してんの…?」


という言葉だけだった。そんな放心状態の俺がそう呟けば彼らは声を荒げて言葉を紡ぐ。心なしか息も荒いのは気のせいか…?



「ナニしてんのって、それはこっちのセリフだよっ」

「はぁっ、ほんと、2人でナニやってたの…って肩揉み?」




俺たちの体制を見て数秒後何かを察した彼らの顔から血の気が引いていく。
だんだん状況が飲み込めてきた俺だったが、それよりも今は横で禍々しいオーラを放出している彼をどうやって止めるかということの方が優先のような気がした。


「・・・あー、これってまずいパターンじゃない?帝人君」

「・・・そうですね、かなり最悪のパターンです」





そんな会話がなされた数秒後、静雄の怒声が部屋中に響き渡るのである。


ああ、ほんと。引っ越そうかな俺…












→おまけ^^




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