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「どう?」
「ん、うまい」
「やっぱなー!俺ってば料理の才能あるかも」
「はいはい」
ご飯の用意が出来た頃に、ちょうど静雄が風呂から上がってきたのでそのまま二人で食事を始める。うまいと言われて調子に乗ったが、実をいうと誰かに手料理を振る舞うのは初めてで。正直、静雄相手にかなり緊張してしまった。
とにかく美味しくできてよかった、と一安心して残りを食べ進める。
そういえば、と何気なくさっきの静雄の行動を思い出して口を開く。
「そういや、さっき周り気にしてたけど何かあった?」
「あ?・・・ああ、いや何でもねえよ」
「?」
「ん、ごちそうさま。後片付け手伝うわ」
「・・・おう、サンキュー」
何とも歯切れの悪い答えにもどかしさを覚えるが、彼が言いたくないのなら別にいいか、と特に気にするでもなく、片付けをするため流し台に2人並ぶ。
ちょっと不本意だがなんか彼氏彼女っぽくないか、なぁんてしょうもないことを考えながら静雄をちらりと盗み見る。
がっしりした体格に整った顔立ち、男の俺から見ても男前ですごく羨ましい。皿を洗う姿を見ても器用そうだし何だかんだで優しいし、これであの馬鹿力さえなけりゃ女の子にモテモテだろうに、と若干失礼なことを思いながら手を動かす。
その後は、部屋で雑誌を読んだりゲームしたり雑談したりと、とにかく一通り遊び倒し、ふいに睡魔が襲ってきた頃にはもう午前1時を回ったところだった。
「もうこんな時間か、そろそろ寝よっかー」
「そうだな、」
遊んでいたものをとりあえず片して、俺の足は自然にベッドに向かう。しかし、そこで俺は重大なことに気がついた。
「どうした?」
いきなり立ち止まった俺を訝しげに見つめてくる静雄には答えず、俺はどうすべきか考えを巡らせていた。しかし最早いい案など浮かばない。しょうがない、そう諦めて未だこちらを見てくる静雄に顔をあわせて困ったように笑った。
「布団、一個しかなかったの忘れてた・・・」
途端に変な空気が流れる室内。
いや、べつに男同士なんだから一緒でもいいのだが、なんとなく気まずい。
部屋にはベットが一つとクッションが2、3個に布団が1つ。
1人暮らしの部屋にはソファなんてものもなく…。
一応客人なんだし、静雄にはベットを使ってもらって俺は地べたで…よし、そうしよう。
考えが纏まったところで俺が口を開こうとする前に、静雄が先に口を開いた。
「別に一緒でよくねぇ?」
「…え、」
・・・いや、まあいいんだけどさ。
高校生にもなって男2人シングルベットで一晩過ごすのは如何なものか。別に変な意味ではないよ断じて。
そんな微妙な心境の俺を尻目にベットに座って横をぽんぽんする静雄を見て、もはや諦めた俺は苦笑いをしてその促しに従うのであった。