穏やかな夜




「兄貴?」


23:00過ぎ。
久しぶりに家に帰ってみれば、家の中は真っ暗で。

一緒に住んでいるはずの兄貴を呼んでみるが応答はない。
しかし、玄関に靴はあるのでもしかしたら寝ているのかもしれない…

とりあえず、そっと玄関の鍵を閉める。


ダイニングに入れば机の上には空になったカップ麺の容器が無造作に置かれている。


「…毎日こんなものばかり食べてるんじゃないだろうな…」


仕事の都合上、ほとんど普段一緒にいれないのでこの光景を見て少し不安になる。まあ、兄貴だって子供ではないんだし、大丈夫だとは思うが。




「…?テレビ付いてる」


ふとリビングを見やれば部屋の電気は消えているもののテレビが付いており、ソファにもたれかかる人影。

「…って、兄貴?」


恐らく寝ているであろう人物の背後からゆっくり近づいて覗き込む。



「スー…」


「ふふっ、可愛い寝顔」


そこには案の定、兄貴が寝ていて。
よほど疲れていたのか、いつだったか俺があげたバーテン服のまま寝てしまっている。
気持ちよく眠っているらしい兄貴を起こすのは少し気が引けたが、こんなところでは風邪をひいてしまう。

ひかえめに、肩をゆする。


「兄貴、」

「…んっ」

「兄貴ってば、こんなとこで寝てたら風邪、ひくよ。」

「…んぁ?かす、か…?」

「ん、ほら早く部屋移動しな…って、わっ?!」



いきなり腕をひっぱられ必然的にバランスを崩す。
次にくる衝撃に耐えるために、目をぎゅっと瞑ったが、一向に衝撃がくる気配はない。


「…?」


恐る恐る目を開ければ目の前いっぱいに広がる兄貴の寝顔。
そう、俺の今の体勢は兄貴に抱きしめられる形でソファに倒れていて―


「…―っ!あ、兄貴っ」


この近すぎる距離に思わず恥ずかしくなって顔が火照るのがわかる。
必死に兄貴の腕から逃れようともがくが、力の差なんて歴然で。

結局無駄な努力だということに気づき諦めて身を委ねる。




「…そーいえば、仕事…うまくいってる?」

「んー…」



熟睡しきっている兄貴に俺の質問など届くはずもないと知っていたが、少し心配だったので思わず口から出てしまう。もちろん返事は返ってこない。
軽くため息をついて天井を見上げる。
そういえば、昔はよく二人で昼寝したっけ。



「…まぁ、たまには、いいよね。」


もはや腕の中から抜け出ることを諦めていた俺はこのまま寝ることに決めた。

「おやすみ、兄貴」


目を閉じる前、もう一度ちらりと盗み見た兄貴の寝顔は小学生のころから変わってなくて、何だか懐かしさに胸がぎゅっとなった。







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やらかしましたーw
これは幽受けなのか?
もはや独白/(^^)\


お付き合いありがとうございましたーww







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