×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

こっち向いてユノー(侑)





ついに実物がここに。何時間見ていても飽きることがない。私はずっと手の中のサイン色紙を眺めていた。
「はぁ〜……最高……」
恍惚とした表情の私とは反対に、ムスッとした不満気な表情でいるのは彼氏である侑だ。
「………いつまで見てるん」
「いつまでも見てたい」
サイン色紙を手にする私を後ろから抱え込む侑は、不機嫌さを露わにする。
「そんなんいくらでも書くのに」
「それは駄目。有難みがなくなる」
よう分からんな、と零される。今日は久々に侑に会ったわけであるが、その際に前々から欲しかった侑のサイン色紙をプレゼントされたのだ。もともとバレー選手としての宮侑が高校の頃から好きで、今でもファンとして応援している。
「本物ここに居るやん」
「それとこれとは別なの」
そういうもんか?と聞かれたのでそういうものなのと返す。侑はイマイチ納得がいってなさそうな顔をしており、そろそろつまらないと頬を膨らませ始めた。ここまでガタイのいい男の癖に可愛い仕草が似合うのも彼くらいのものだと思うけれど、これは私の欲目が入っているだろうか。
確かにサイン色紙を渡されてからずっとほっといたのはあんまりだったかもしれない。そろそろファンの私から彼女の私に戻るべきかな、と彼の方へくるりと向きを変える。
「侑、ほっといてごめ…」
ごめんねという言葉は言い切れなかった。ちゅ、と唇から柔らかな感触がゆっくりと離れていく。
「ほなこっからはたっぷり俺に構ってや」
異議は認めないと言わんばかりに私の口は侑のそれによって塞がれた。