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アイグレーの近似色(角名)





※大学生くらい


カーテンの隙間から差す光が眩しい。というか今何時だ。少し身体を起こして時計を確認すると朝の8時を少し過ぎていた。欠伸をひとつして大きく伸びをする。起きようとベッドから動こうとしたのだが、それは腰に巻きついてきた腕によって阻まれてしまった。そのままぐいっと布団へ引き戻される。
「うわっ、ちょっと倫くん」
「んん……今何時……」
もぞもぞと寝ぼけ眼の彼はいつもと違った姿で可愛い。昨夜は彼とバレーの中継に始まり、映画のDVDを夜通し見ていたのだ。頼りない私の記憶によれば、先に寝落ちたのは私の方だったと思う。周辺が軽く片付けられているのは彼がやってくれたのだろう。ソファで寝落ちたので私を運んでくれたのも彼だと思われる。
彼に背中から引き寄せられたので、くるりと身体の向きを変えればやはり眠たそうな瞳と目が合った。
「眠たそうだね」
「……うん。逆に何でそんな元気なの」
何でと言われても。起こされるより自然に起きた方がスッキリするとか聞いたことあるからそれかもしれない。眠そうな顔のまま、彼は私の頬に手を滑らせる。
「……ね、二度寝しよ」
「私あんまり眠くないんだけど」
「たまには彼氏のお願い聞いて欲しい」
もぞもぞと動きながらもしっかりと彼は私を腕の中に閉じ込めた。どうやら私を抱き枕にするつもりらしい。すっかり身動きは取れなくなった。
「昨日運んであげたのに……」
「それはありがとう」
「可愛い彼女を横にして一切手を出さなかったのに……」
「それは…ありがとう……?」
かなり眠いのか多分これ本人も何言ってるかわかってない気がする。普段飄々とした印象の彼がたまに見せるこういう言動が私は結構好きだ。
仕方ない、たまには愛しの彼氏様のお願いを聞いてあげようじゃないか。起きたら抱き枕役の代金を請求しようと思う。朝ごはんにフレンチトーストでも作って貰おうかな。すやすやとすでに寝息をたてている彼の腕の中で、大人しく私も再び眠りについた。