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カシオペアのまどろみ(赤葦)





外ではザアザアと雨が降っている。さすがにこの天気では外に出かけることなどままならないため、今日のデートはお家デートになった。
放課後そのまま京治くんの家へお邪魔する。帰路の途中で映画のDVDを借りた。以前見たかったけれど京治くんが部活で都合がつかず、結局見られなかったものだ。私だけ見に行くのもそれはそれで寂しい気がして私もまだ見ていない。
映画が半分ほど過ぎたところで展開はだんだんと単調になってきた。世間の評判はあまり宛にならないなぁ。仮にクライマックスが面白くても取り返せないぞこれは。などと思いながら京治くんの方をちらりと見ると眠そうな顔をしている。そりゃあいつもハードな練習に加えて授業もしっかり受けてるんだから疲れもたまっているだろう。
「京治くん、眠い?」
「ん…大丈夫」
まあ聞いたらそう返ってくるのはわかりきっていたけど。
「よし、お昼寝しよう!」
「せっかく来てくれてるのに…」
「いいから!ほら!」
なかなか動こうとしない京治くんを横目に、ベッドに先に入る。おいでの意をこめて両手を広げると彼にしては珍しく素直に飛び込んできた。
「せっかくのデートなのにごめん…」
「いいじゃん。今日はごろごろしてようよ」
そもそも私は寝ることは好きなので今彼と一緒に昼寝ができるこの状況は幸せそのものである。ここは天国だろうかなんて思わないでもない。大人びた印象の彼も寝顔は年相応だ。その顔を見ていると愛しさが込み上げてきてそのまま抱きしめた。ふわふわの髪を撫でているとすうすうと規則的な寝息が聞こえてくる。いつもお疲れ様。普段は冷静で頼れる彼のこんな一面を見られるのは彼女である私の特権だ。横になっていたら私も眠くなってきちゃったな。寝過ごすと彼はまた気にするだろうから、とスマホのアラームをセットして私も眠りについた。






三題噺・お題:『雨』『天国』『ごろごろ』