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ペローナと賽をふる(角名)





今日は天気も良いし、屋上でお昼かな。そう考えて階段をのぼって行く。屋上の扉を開くと先客は居らず、のびのび出来そうだった。
ちょうど日陰になる所に腰を下ろして買ってきた物を袋から取り出す。おにぎりとプリン、飲み物は紅茶にした。ご飯に紅茶は合わないって言われそうだけど、私はこれが結構好きだ。
「いただきま……」
「先輩、今日も屋上?」
「うわぁ?!」
いざ食べようとしたところで急に声をかけられて驚いた。危うくおにぎりを落とすところだった。
「そんな驚かないでよ」
「角名かぁー……。誰も来ないと思ってたからさー」
やって来たのは部活の後輩の角名だった。冷たげな印象の割に、私によく話しかけてくれる。
傍に来たので横にズレると、角名はそこへ腰を下ろした。そして彼もここで食べるつもりなのか、購買で買った物を袋から出し始めた。
「あ、そのプリン一日30個限定のやつ?」
「そうだよ!ラスト1個勝ち取ったの」
「一口ちょうだい」
先輩、だめ?と角名は後輩の顔を見せてくる。後輩に頼まれると断れない私は、この顔に特に弱い。きっと彼はそのことを知っててやっている。
「う、ぐ……、しょうがないなぁ」
はいどうぞと言わんばかりに私はそのままプリンとスプーンを手渡した。食べるのかと思いきや、角名は微妙な顔をしてやっぱりいいやと断ってきた。一体何だったのだろう。不思議に思っていると再び角名が口を開く。
「昨日も先輩屋上で食べてたよね」
「友達は彼氏と食べるんだって」
「ああ。それで」
昨日今日と一人ご飯なのは友達に彼氏が出来たからだ。付き合いたてだからそっちを優先して欲しいし、邪魔するわけにはいかないし、とりあえずとここで食べているのである。
「あーあ、私も彼氏欲しいな……」
何気なくポロッとこぼれた言葉。晴れた空に溶けて消えていくと思われたそれはしっかりと後輩の耳に届いたようで。
「それ俺じゃ駄目?」
「え、角名?」
今度こそ驚いて手に取っていた紅茶のペットボトルを落とす。キャップが閉まっていて大惨事は免れたものの、心臓は忙しなく動く。
「角名、私のこと、す、好きなの……?」
「好きだよ。俺けっこう先輩に話しかけてアピールしてたつもりなんだけど」
「そうだったんだ……?」
「まあ先輩が俺のこと意識してないのはわかってたけど。さっきもナチュラルに間接キスなのにスプーン手渡してきたし」
なるほどそれでさっき微妙な顔をしていたのか、と納得がいった。
「これから意識させるから覚悟しててよ、先輩」
「!」
火がついたように顔が熱い。 お昼を済ませなくてはと再び食べ始めるも、覗き込まれるようにされてはせっかくの限定プリンの味もわからない。
そしてここから彼の猛攻は私が白旗を上げるまで続くのである。