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午前中の部活が終わり、早く帰ろうとさっさと着替えていると隣から銀に話しかけられた。
「なあ、角名この間告られたけどフったってほんま?」
「……ああ、まあ」
銀はただ純粋な好奇心から聞いたんだろうけど、この場では言わないで欲しかった。部室は狭いから声が耳に届きやすいのをわかっているのだろうか。
「ほ〜?お相手は?」
「………」
「無視かい!!」
ほら見ろ。にやにやと野次馬根性丸出しで侑が絡んでくる。それを無視してテキパキと着替えをすすめる。
「4組の飯田さんやて」
「は?飯田さんフったん?」
「ほんまか?」
おいコラ、銀の厚意が今は憎い。ついさっきまで自分は興味ありませんみたいな顔をして着替えていた治まで食いついてきた。
「飯田さんの何が気に入らんかってん」
「……興味ないだけだよ」
男子の間では飯田さんはなかなか人気がある。まさか自分が告られるなんて思ってもみなかった。彼女曰くバレー中の姿がかっこよかったとか何とか。
「もしかしてあれか、もう彼女いてるんか」
「は?抜け駆けか角名?」
治も侑もうるさい。自分たちは自身のそういう話では盛り上がらないくせに、他人のその手の話ではたちまち首をつっこみたがる。
「いや彼女いないし」
「そら部活でそれどころちゃうやろ」
「そらそうか」
銀の発言で説得力は増したらしい。実際彼女はいないし間違いじゃない。ロッカーを手早く閉めてカバンを引っつかむ。挨拶もそこそこに帰路へ急ぐ。待たせている人がいるのだ。

◇◇◇◇◇


部室で時間をくってしまった。大丈夫だろうか。かなり待たせてしまっている気がする。駅にたどり着き辺りを見回すと、時刻表の傍に愛しい姿を見つけた。
「ごめんなまえ。遅くなった」
「!、倫くん!」
俺の姿を見つけるとぱあっと花が咲いたように笑うなまえ。なまえは幼なじみで、今日はこちらに遊びに来たのだ。この辺を案内するよというのも建前、なまえと一緒にいられる貴重なチャンスを逃しはしなかった。なまえとの関係はまだ幼なじみだけど、これからきっと外堀から埋めていく。
これから遊びに行くのが楽しくてしょうがないというようななまえの笑顔が眩しい。これにはどんな女子も敵わないなぁ、たとえ男子の間で人気があってもなどと思い、ふと部室での会話を思い出す。そりゃあ興味なんかないよほかの女子には。俺はなまえしか見えてないんだから。俺はなまえの手を取り、浮き足立つ心を落ち着けながら街へくりだした。






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