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※治視点



せっかく今日は部活がオフやってのに日直にあたっとるんはほんまについてへん。まあもう1人の日直が顔馴染みやから楽やでええけど。あと残っとる仕事は日誌くらいか。
顔馴染みというか幼なじみであるなまえが席に座って日誌を書き始めたから、前の席に座る。
「治どうせ書くのめんどくさいだろうから名前だけ先に書いてよ」
「おん」
言われたとおりに名前を書く。
「治は侑と比べると字綺麗だよね」
「そらツムと比べたらな。なまえほど綺麗ちゃうけど」
「男子高校生の字って感じ。侑のは読めたらいい方」
「まぁあいつバレー以外にほとんど興味無いでな」
「そう…なんだよね……そう、興味ないの侑は…」
あかん。地雷踏んだ。この話題になるとなまえはいつもの元気をどこかに置いてきたみたいにしょげる。
なまえはツムにながいこと片想いしとる。昔うちの近所に越してきたなまえは関東圏の出身やったから、よくその標準語をイジられとった。コンプレックスからか、ぎこちない関西弁を話そうとしとったなまえはさらにからかわれることが多かった。しかしそこは良くも悪くも興味があらへんかった俺の片割れは『そんなん別にええやん。俺は何喋ってようがどうでもええ』と何の気なしにこぼした。当時のなまえは大層救われたようでその頃からずっと侑のことが好きらしい。どうしてもこの関係を崩したくないなまえはその胸の内を度々俺に相談してくる。俺も幼なじみとしてなまえには幸せになって欲しいとは思う。ほんまに思うで?思うけど俺を巻き込まんといて欲しい。何ならはよくっつけやと焦れったく思っとる。
「高校入って髪染めたから余計に目立ってさらにファンがついて!!」
「あ〜…」
「そんなだから最近はあんまり近づけないし!!」
「……」
「治聞いてる???」
聞いとる聞いとるという意志を示すために頷く。今俺の口には菓子パンが入っとる。なまえの話の途中で腹が鳴ったから食べだした。
「治…最近流すようになってきたね…。はあ〜もういっそ他の人と付き合った方がいいのかもしれない…」
「相手おらんやろ」
「いやこの間告られたし」
衝撃の事実に思わずは?と声が出た。
「は?なんそれ俺知らんで」
「言ってないもん。ってか急に反応しだして何」
「は〜…。それあいつに言うてみ?」
「侑に〜?言ったところでさぁ…」
俺がそうするよう勧めるんには理由がある。一つはもうこの相談係を心底やめたいからや。もう一つは侑かてなまえを……と思ったとこで当人が教室へやってきよった。
「遅いでサムーーー!!ってなんやなまえも一緒かい」
「私も日直だし。治、侑に遅くなるって言ってなかったの?」
「忘れとったわ」
「今日オカンにおつかい頼まれてたやろ」
ああ、せやった。オカンが重たいもんばっか買ってくるよう言ってたで二人がかりでおつかいせなって言うとったんやわ。そろそろ帰りたいし、もういっそこいつらの仲つついたろかな。
「そういや聞いたかツム、なまえこないだ告られたんやと」
「は?!」
「ちょっ、治!!」
言わなくていいことをとなまえは睨んでくるけど、痛くも痒くもない。
「どこの馬の骨やねん」
「あ〜…バスケ部の小堀先輩」
「あいつか!」
先輩をあいつ呼ばわりするあたり俺の片割れらしい。バスケ部の小堀先輩と言えばまずまずの優良物件やった気ぃするな。副部長してて優しいところが密かに女子に人気やって誰かが言っとった。ツムと比べたら断然こっちの方が幸せになれそうやな。普通なら。まあ、なまえは脈なんてないと言わんばかりやけど、そんなことないと思うで俺は。
「……付き合うん?」
ほれ見ぃ、めちゃくちゃ気にしてない風を装ってるけどだだ漏れやん。なんでなまえは気づかんねん。
「侑はどう思う?」
「あかーん!やめとけ!」
「何でそんな反対すんのよ」
「やって……ほら、なまえは……俺の……」
おお、いつになくええ雰囲気やんけ。俺は気を利かせて教室に二人きりにしたった。しゃあないからオカンのおつかいは俺だけで済ましたる。貸しやぞ。これでやっと相談係卒業やなと思っとったのもつかの間。
「治聞いてよ!!」
「なんやねん」
「やっぱり脈なんてなかった!!」
「はぁ?」
なんっっっでやねん。翌日教室に飛び込んできたなまえ。ここは駆け込み寺ちゃうぞ。なまえ曰く、あの後侑は『なまえは……俺の……お、俺の大事な幼なじみやからな!!』と言ってそそくさとその場を後にしよったらしい。
「あのヘタレめ……」
「助けて治…」
「助けて欲しいのはこっちやねんけど…」
この調子ではこいつらくっつくのいつになるんやろ。まったくもって見えへん先に俺は頭を抱えた。






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