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天気予報はなかなか当てにならないものだ。ギリギリ通り雨に降られなかったからいいものの、もう少し早めに出ていたら濡れていた。
学校に着いて着替えに行こうと更衣室へ向かう。下駄箱で靴を履き替えた直後、クラスメイトのみょうじに会った。
「おはようみょうじ」
「おはよー!これから部活?」
「そう。試合も近いから」
みょうじは去年から同じクラスで、入学したときから仲がいい。正直なところ、好きな子なのである。朝から会えるなんてついてる。しかし彼女の姿にぎょっとする。朝の通り雨で濡れてしまったのだろうか。シャツがうっすら透けていて、下着が見えてしまっている。どうせ朝練で着替えるからその時に干しとこうかなとか思ったんだろうな。そんなところも可愛いと思えてしまうので恋は盲目とはよく言ったものだ。このままではみょうじの無防備な姿を他の奴らに見せることになってしまう。それは面白くないと思い、慌てて自分の着ていたカーディガンを肩にかけてやる。
「みょうじ、これ羽織ってなよ。部活終わりにでも返してくれれば良いから」
「え?確かに濡れちゃって寒かったから助かるけども」
「何も無いよりかはマシでしょ」
若干の押し問答に陥る。多分恥ずかしがると思うので透けていることは言わないでいたが、このままでは素直に上着を着てくれそうにない。どうしたものかなと考えていたらバレー部の後輩達が下駄箱からこちらへやってきた。思わずすっとみょうじの前に立ってやり過ごす。
「あっ角名先輩おはようございます!」
「おはようございます!」
「おはよう」
後輩達は幸いみょうじには気づかなかったようでそのまま体育館へ向かった。それを見届けて振り返るとみょうじは頭に?を浮かべている。わかってないんだろうな、俺がこんなにやきもきしているの。はっきり伝えた方がいいと判断し、彼女の耳元に口を寄せて小声で話す。
「透けちゃってるからそれ大人しく借りて早く着替えてきなよ」
「ぎゃっ、うわほんとだ恥ずかしい!ありがたく借ります!」
途端に真っ赤になったみょうじはわたわたと俺の貸したカーディガンを着る。これで事なきを得たとため息をひとつもらし、自分もこれから朝練に向かわなくてはいけないことを思い出す。
体育館へ歩こうとするとみょうじから角名、と呼ばれた。振り返った先には俺のカーディガンを着た彼女。袖も丈もだいぶ余っていて破壊力は抜群だ。
「ありがとう角名。朝練終わったら返すね」
「う、ん。わかった」
「角名のカーディガン、やっぱり私には大きいね」
その場でみょうじはくるりと回って笑って見せた。時計を見てハッとした顔をしたみょうじは朝練行かなきゃ!先に行くね!とばたばたと更衣室へ駆けていった。残された俺はその場にへなへなとしゃがみこむ。
「………可愛すぎじゃない?」
後から来た侑に朝から何しとんねんと言われるまで俺はそのままの状態から動けなかった。






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