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俺はどちらかと言えばそりゃ振り回されるのは好きとちゃう。それでも人を振り回すタイプのこいつと長いこと付き合うとるのは惚れた弱みってやつやろか。
「う〜ん微妙」
「なんでやねん。ってか逆やろこれ」
彼女のなまえは今俺の膝に頭を乗せて寝転がっとる。いわゆる膝枕や。その癖俺の膝は固いだの何だの文句を言っとる。
「侑くんはなまえちゃんの膝枕係クビです」
「なった覚えないねんけど」
知らん間にクビになっとるし。でも文句を言う割に頭を撫でたると嬉しそうにくすくす笑うのを俺は知っとる。うん、可愛ええ。
「急に膝枕して欲しいとか言うてどないしてん」
「え〜っと、その、マンネリ防止…的な?」
「はぁ?」
突然膝枕をねだった理由を聞いたら予想外の言葉が返ってきよった。確かに俺らは付き合うてけっこう経つけどそんなこと思っとったんか。
「…ほら、私達あんまり学校ではべったりしてないし、この間クラスの子にほんまに付き合ってるん?って聞かれちゃって」
「ほんで改めて恋人っぽいことしよかと思たん?」
「そう」
なまえ本人がマンネリやと思ってなくて安心した。しかし誰やそんなこと言ってきた奴。そう思う反面、まあ恋人っぽいことはあんましとらんわなとも思う。どうしても俺はバレーを優先するし、なまえも自分の部活を優先するからあんまり一緒の時間は取れへん。
「侑、今度の休み暇?」
「ん〜、何もあらへんと思うけど」
「よし、デートしよ。駅前に10時集合ね。で、駅周辺ぶらつこう」
「待て待て待て。さくさく1人で決めてくなや」
寝転がっていたなまえがガバッと起き上がる。
「え〜、侑デート嫌?」
「嫌ちゃうけど」
なまえは不機嫌そうに眉を下げた。別にデート自体は願ったり叶ったりというか。俺かてなまえと一緒の時間が取れるのは嬉しい。
「でも駅前が集合場所ってのはあかん。俺ちゃんと迎えに行くし」
「なんで?待ち合わせした方が何かデートっぽくない?」
「なんでて…」
そう、この条件だけは譲られへんかった。屋上を吹き抜ける風がなまえの髪を揺らす。その髪を手で遊びながら言葉を選んだ。
「……前に待ち合わせしたときなまえナンパされとったやん。あれめっちゃ嫌やってん」
「!」
なまえは聞いた途端ににやにやしだした。これやから言いたくあらへんかったんや。照れ隠しになまえの頭を撫でてそのままぐしゃぐしゃにしたったけど、なまえはその緩んだ顔を戻そうとせんかった。
「ふふ、じゃあお迎え待ってるね」
「………おん」
満面の笑みを浮かべるなまえを見とると、たまには素直に言うてみるのも悪ないなぁなんて思う。絶対本人には言わへんけど。なんだかんだ言いつつも俺はなまえに振り回されるのは結構気に入っとるんかもしれん。






三題噺・お題:『クビ』『集合場所』『さくさく』



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